結ちゃんの「囲碁トピックス」

更新(10/12)
グングン伸びた若武者<北京特別強化遠征>

伊田、藤沢(里)、一力が北京へ特別強化遠征

 日本期待の新人棋士三人、伊田篤史二段(16)、一力遼初段(13)、藤沢里菜初段(12)が八月下旬に中国北京の中国棋院を訪れ、同じく中国期待の少年少女たちと交流戦を行った。名付けて「特別強化遠征」。三人の奮戦をお伝えする。 (本紙・上田 篤史)

【日本棋院の企画に中国快諾】

 世界のトップで活躍する棋士が、日本からもっともっと現れて欲しい。それは囲碁ファンの願いであり、囲碁界関係者の願いでもある。そのためには、入段間もない若手たちに国外で経験を積んでもらうのが一番だろうと、日本棋院が若手棋士の特別強化遠征を企画し、中国棋院に申し入れたところ快く迎えてくれた。碁界の将来を担う彼らに大きく育ってほしいという思いは中国側にもあり、スケジュール調整など多大なご協力をいただき実現した。

 メンバーに選ばれたのは伊田、藤沢、一力の三名。初めての試みである今回、交通費等は自己負担だった。

 団長・孔令文六段、「今回の三人は、非常に期待が大きいです」。中国の若手らと四日間でそれぞれ八局打った結果、藤沢四勝四敗、一力、伊田は二勝六敗だった。三人とも五分以上を当初の目標にしていて、この結果には不満のようだった。

 藤沢の対戦相手はほとんど年長者であり、五分の成績は立派なもの。「みな熱心で、強くて驚きました」。初の中国遠征で少年や少女たちが毎日研鑽に励む姿を目にして、得るものも多かったことだろう。

 孔団長は「内容がしっかりとしていて、勝負根性があると、中国の棋士たちから高い評価を受けました」と讃えた。

【体力作りが課題(一力遼―李欽城 総譜1)】

新入段の一力初段は全体的に内容は良かったが、夏バテで体調を崩していたことなどもあり、勝ちきれなかった。

孔「次の機会があるならぜひ奮起してもらいたい。体力づくりも今後の課題です」

李は一力の一つ年下。中国期待の少年で、将来世界戦の舞台で戦うことになるかもしれない。

李の先番。
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総譜、写真付きの記事全文は週刊碁10月18日号(10月11日発行)でお楽しみ下さい。
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黒97とコウを抜いたのがしつこかった。黒105から109と仕掛けるのは勢いだが、黒111、113の連打では戦果としては不十分。黒97で104なら黒良し。実戦は細かいヨセ勝負に。コミは六目半。二転三転のすえ、李が半目競り勝った。

【大失着(謝赫―伊田篤史 総譜2)】

伊田は出発時に搭乗に遅れるハプニングに見舞われ、午前九時名古屋発の予定を成田経由の便に変更して深夜に北京に到着した。出費もかさんだ。

災難を押して訪中した伊田のため、謝赫七段との対戦を中国コーチ陣が組んでくれた。負けはしたが、内容は良かった。「謝さんと打てたのは、いい経験になりました」

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記事全文は週刊碁10月18日号(10月11日発行)でお楽しみ下さい。
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伊田、一力、藤沢にかける期待は大きい。結果は伴わなかったが、みなまだプロの世界に入ったばかりの新人棋士であり、無限の可能性がある。これからも厳しい戦いをたくさん経験して、世界一の棋士へと成長してもらいたい。
(『週刊碁』2010年10月18日号より抜粋)