結ちゃんの「囲碁トピックス」

更新(10/12)
花巻決戦!謝スタートダッシュ<女流本因坊戦五番勝負第1局>

謝依旻女流本因坊の四連覇がかかる第二十九期女流本因坊戦(共同通信社主催)は、十月六日、岩手県花巻市「佳松園」で開幕戦が行われた。序盤から激しい戦いが繰り広げられ、大変化の終盤を謝が制し、ライバル向井千瑛四段を下して一勝目をあげた。続く第二局は、十三日に日本棋院で行われる。(本紙・小高栄治)


「ストップ・ザ・謝三冠」。
現在の女流囲碁界は、誰が謝依旻女流三冠を倒すかに大いに注目があつまっている。

最近、活躍がめざましい謝の同期、向井と奥田あや二段の二人がその一番手で、特に向井四段は二年前、三年前に女流棋聖戦の本戦で謝を破っていて、三冠制覇を遅らせた実績がある。

今年三月に行われた女流名人戦では謝に敗れ、悲願のタイトル奪取とならなかった向井だが、今秋、女流本因坊への挑戦権を手中に収め、再戦の機会が巡ってきた。

秋風がここちよい季節になると、岩手県花巻市「佳松園」で女流本因坊戦開幕戦が行われるのが近年の恒例となった。

その前夜祭で、「来年以降もぜひ当地で開幕戦を」とのあいさつに、訪れたファンから大きな拍手があり、どれだけこの開幕戦を楽しみにしていたかが伺える。

「向井さんは院生も一緒、入段も同期で、普段は仲のいい友人ですが、碁では良きライバルです。前回のタイトル戦で打った時も内容は悪く、逆の結果でも不思議はありませんでした。負けないようにがんばります」と謝があいさつ。

「四年前に来た時は記録係で来たのですが、とてもすばらしい所でよく覚えています。今回、挑戦者で来たら、さらにグレードアップしまして…。もともと広い部屋が、さらに三倍の広さになりました(笑)」と向井。「挑戦者になってから、あまり話をしていないので、明日は盤上(手談)で謝さんと会話したい」とあいさつし、明日への意気込みを語った。

【空振り?(第1譜)】

握って謝の先番。白18まで、右辺は黒模様、左辺は白の勢力圏となり、どこから戦いがはじまるか、控室は進行を見守っていた。

--------中略--------
【いなした(第2譜)】
棋譜、変化図、写真付きの記事全文は週刊碁10月18日号(10月11日発行)でお楽しみ下さい。
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同所で女流本因坊戦開幕局が行われるようになって七年が経ち、温泉もすばらしい佳松園。ところが、女流本因坊は当地でまだ一勝もあげていないのだ。謝女流本因坊も挑戦者の時は勝利を収めたものの、翌年、その次の年の防衛戦も敗れ、その記録更新に一役買っている。

今年もジンクスどおりとなるのか、それとも謝がジンクスを破るか。

--------中略--------
【大熱戦(第3、4譜)】
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ここで黒が優位に立った。秒読みの中、向井が勝負手を連発し、フリカワリからさらに大コウが勃発するも、謝が的確に受けて向井の猛追を退けた。

「序盤は良かったと思いますが、上辺で黒四子を取られた時は形勢不明になったと思います。はっきり良くなったと思ったのは、黒103(第4譜)とホウリ込んで、白の四子を取りにいった時です」と謝。「次もいつも通りがんばりたい」と局後に話していた。

一方、向井は言葉少なであったが、果敢な攻めはさすがの一言。地元ファンも納得の大激戦だった。

ジンクスを破る緒戦の勝利に、第二局も勝って四連覇にもう一歩、謝女流本因坊は近づくことができるのか。それとも向井が勝って一勝一敗のタイスコアに戻すことができるのか。

十三日もネット中継でこの熱戦をお見逃しないように。

237手完、黒中押し勝ち

【対局情報】
持ち時間 各4時間(残り5分から1分の秒読み)

消費時間
黒(謝) 3時間59分
白(向井) 3時間59分
終局 6日 19時20分
237手完、黒中押し勝ち
立会 二十四世本因坊秀芳
記録 金沢 真二段、伊藤優詩初段
(『週刊碁』2010年10月18日号より抜粋)