結ちゃんの「囲碁トピックス」

更新(10/12)
山下初優勝<第17期阿含・桐山杯決勝>

治勲を撃破し早碁2冠

秋本番を迎えて本因坊道吾の快進撃がさらに加速している。阿含・桐山杯第十七期全日本早碁オープン戦(毎日新聞社ほか後援、阿含宗特別協賛)の決勝は、十月二日、京都市山科区の阿含宗釈迦山大菩提寺で行われ、山下道吾本因坊が二十五世本因坊治勲(趙)に黒番中押し勝ちし、初優勝を飾った。タイトル獲得最多記録更新が期待された趙だったが(現在は七十一)、三年ぶりに訪れたチャンスを物にすることはできなかった。 (記・佐藤康夫)

 秋の観光シーズンがスタートした京都は、好天に恵まれて溢れんばかりの人出で賑わっていた。例年なら紅葉に包まれ美しさを誇る「蝸牛庵」(対局場)だが、今年はアジア競技会の影響で十月早々に決勝戦を迎えることになった。

 本因坊を獲ってからの山下、凄まじい勢いで勝ちまくっている。勝ち星ランキングは独走態勢。先月には竜星戦で初優勝し、不得手と言われていた早碁棋戦も制した。アジア競技会の日本チーム主将を務める山下。その大目標と責任感が、絶好調を引っ張っているように思える。

【持ち味どおり(第1譜)】

両者の対戦は一年ぶりで、桐山杯では意外にも初めて。対戦成績は山下二十勝、趙十五勝。因みに早碁棋戦では趙が五戦全勝していた。

本殿二階の大盤解説会は、マイケルレドモンド九段と井沢秋乃四段のコンビで行われた。対局終了後、会場での両対局者を交えた感想戦は、例によって趙の独壇場となった。趙の感想はリップサービスが加味されているものとご理解いただきたい。

趙「山下さんは名前を変えてから、メチャクチャ強くなった。彼の碁を勉強すればするほど勝てないと思いました。今日は序盤のうちは戦わないようにしようと思っていたのですが…」

山下の中国流布石でスタート。黒9まではポピュラーな進行。

--------中略--------
棋譜、変化図、写真付きの記事全文は週刊碁10月18日号(10月11日発行)でお楽しみ下さい。
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治勲、最多タイトル更新ならず

 大盤解説会場には大画面のモニターが設置されていて、一足早く九月十三日に行われた中国の阿含・桐山杯決勝戦の模様が放映された。日本と同じようにアマも参加して、出場選手は千人を超えたという。頂点に立ったのは常昊九段を破った邱峻八段。年末の十二月二十三日に初めて「蝸牛庵」での対局に臨む。十一回を数える日中決戦は、日本四連勝のあと中国が七連勝している。「これ以上負け続けたら、打ち切られてしまうかもしれない」と山下は心配していた。

--------中略--------
【山下、攻勢(第2譜)】
【趙、自爆(第3譜)】
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趙「黒95と手を入れたのに、白98と動き出すのではメチャクチャでした。(投了は早かったのでは? の問いに)百五十目くらい負けています」

本局はKBS京都テレビで11月3日午後6時から約一時間にわたり放映される。最後に勝利者インタビューをお伝えしよう。

山下「桐山杯とは縁がなかったので、優勝できてとてもうれしい…最近、早く打つように心がけています。早碁に弱いと言われていたので、これで言われなくなりますね…今年は最初わるかったけど(棋聖失冠)、そのあとはいい状態が続いています。

このままの勢いで日中決戦に臨めれば、なんとかできると思っています。日中決戦に勝たなければ、今回の優勝の喜びも半減してしまいますから」
(『週刊碁』2010年10月18日号より抜粋)