棋士が選んだこの一手

一力遼が選んだこの一手

対局日 2021年2月5日
棋戦名 第45期棋聖戦七番勝負第3局 総譜はこちら
対局者
(段位は当時)
黒 河野臨九段
白 井山裕太棋聖


< テーマ図(白番) >
 棋聖8連覇中の井山裕太棋聖に河野臨九段が挑んだシリーズ。井山さんの2連勝で迎えた第3局の中盤戦です。現時点では形勢は互角ですが、ここから井山さんが素晴らしい構想で主導権を握ります。
  • < 1図 >
     白1の置きが絶妙手でした。実戦は黒が2とさえぎり、白は右辺を利かして7と戻りました。
  • < 2図 >
     1図の白1で単に1のオサエだと、黒は四子を助けずに黒2から4と外から利かして捨ててくる可能性があります。しかし、白aと黒bの交換があると黒2が愚形になるので打ちづらい。本図を封じているのが1図の白1の効果です。
  • < 3図 >
     1図の続きの実戦進行です。黒は上辺に打つと白に2とカケられて右辺を取られてしまうので、1から5と助けました。白が上辺に回り、黒9とツケた時の白10が第二の妙手で、これで黒が身動きの取れない形になってしまいました。
     この手を1図の白1と打った時から読んでいたとすれば、白1が勝着といっても過言ではないでしょう。非凡な発想で形勢不明のところから一気に優勢を築いた、井山さんの構想力に感銘を受けた一局でした。

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