棋士が選んだこの一手
大淵盛人が選んだこの一手
対局日
1938年6月26日
棋戦名
秀哉名人引退碁
対局者
(段位は当時)
黒 木谷實七段
白 本因坊秀哉名人
木谷實七段
VS
本因坊秀哉名人
< テーマ図(黒番) >
江戸初期から続いた家元制度の終焉と、囲碁界新時代への転換を象徴する一局です。
ノーベル賞作家、川端康成先生の名作「名人」のモデルでも広く知られております。
中盤どころ、黒1から白10まで中央の厚みを図った局面です。
当然上辺大場への展開が予想されましたが――、
< 1図 >
木谷先生が打ちおろした一着は黒1のツギ。
『ここに一手かけるのか!』初めて本棋譜を目にした時、何とも表現しがたい衝撃を感じたものです。
この手をもって、先ずは局面全体の落ち着きを図ります。と、同時に次なる攻めを見たものでした。
< 2図 >
秀哉名人、当然の2のヒラキ。黒は狙いすましたように上辺黒3と攻撃を仕掛け、局面全体の主導権を握りました。結果は黒5目勝ち。
黒▲は木谷先生ならではの信念の一手でありました。
その後、囲碁界は木谷実先生、呉清源先生を中心とした新しい時代へと向かいます。
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