棋士が選んだこの一手

松本武久が選んだこの一手

対局日 1985年3月19日
棋戦名 第9期棋聖戦七番勝負第7局 総譜はこちら
対局者
(段位は当時)
黒 武宮正樹九段
白 趙治勲棋聖



  • 武宮正樹九段
  • VS

  • 趙治勲棋聖


< テーマ図(白番) >
 趙治勲先生の内弟子時代、先生の家の勉強部屋には棋聖戦の本や趙先生の本が置いてあり、よく棋譜並べをしていました。
 たくさんの棋譜の中、この碁はかなり印象に残っています。
 白1と打ち込み、黒2と打たせた後の構想に驚かされました。
  • < 1図 >
     △を動き出さずに白1と打って捨石にしたのが柔軟で、素晴らしい大局観の一着でした。
  • < 2図 >
     白1と逃げ出して行けば普通で私ならこう打ちそうです。これが悪いわけではありませんが、黒2などモタレてから8と攻められると全く先の見えないシノギ勝負になりそうです。もっとも武宮先生の攻め、趙先生のシノギの、生きるか死ぬかの勝負の方が両先生らしいといえばらしいですが(笑)
  • < 3図 >
     その後の実戦進行です。打ち込んだ一子を丸飲みされて大模様を地にさせても地合は負けてないという判断が的確で、趙先生の形勢判断の凄さを感じさせられました。
  • < 4図 >
     少し記憶があいまいなのですが、趙先生が白13の辺りで一時間を超える大長考をしてヨセまで想定して、勝ちを読み切ったと書かれていた記事を読んで驚かされたのを覚えています。
     今回の企画をきっかけにAIで見てみたのですが、実際にこの後細かいながらもずっと白がリードを保って勝ち切っていました。改めて趙先生の正確な計算力、形勢判断力の凄みを感じました。

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