棋士が選んだこの一手
孫喆が選んだこの一手
対局日
2018年2月7日
棋戦名
第22回LG杯決勝第2局 総譜は
こちら
対局者
(段位は当時)
黒 謝爾豪五段
白 井山裕太九段
< テーマ図(白番) >
世界戦決勝三番勝負の2局目です。井山先生は1局目を逆転負けで落とし、この碁も序盤から苦しい展開です。いかに中央の黒模様を減らすかが焦点に見えました。
< 1図 >
ここでカタツキから戦いを仕掛けていったのが、さすがの迫力でした。上辺のシチョウの逃げ出しを横目に見つつ、真正面から戦ってしまおうという手です。これで戦えるという判断ではなく、こう打たなければ勝てない、といったような非勢を意識した勝負手だったと思いますが、周りが黒だらけの状態で真っ向から戦いを挑む一手に、井山先生のすごみを見た気がしました。
< 2図 >
実戦は白12まで進みました。まだまだ白が大変な形勢ですが、シチョウで取られていた白二子を逃げ出すことに成功し、局面はだいぶ混沌としてきています。
< 3図 >
その後も激戦が続き、左下で攻め合いとなりました。ここで白のワリ込みが鮮やかな手筋でした。
< 4図 >
ちなみにワリ込んだ手で直接白1と黒のダメを詰めていくと――、
< 5図 >
黒8で手数が一手のびるので攻め合い白負けとなります。
< 6図 >
なので、白1から黒4までを換わってから攻め合いにいくのが絶妙な手順です。白aに打てるのが前図との差で、これなら攻め合いは白の一手勝ちになります。
< 7図 >
また、白1に対し黒がすぐに隅の白を取りにくれば今度は左辺の黒と攻め合いになります。
< 8図 >
隅の白は見た目以上に手数が長く、これも白の一手勝ち。実戦は6図の進行をたどり、白が下辺の黒を取り、黒は左辺で生きる展開となりヨセ勝負になりました。最後まで細かい大熱戦でしたが、結果は見事に白の半目勝ち。最後の最後で抜き去りました。
井山先生の勝負に対する執念と、それを支える深い読みに感動する一局でした。
総譜は
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