棋士が選んだこの一手

本木克弥が選んだこの一手

対局日 2001年3月15日
棋戦名 第2回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦 第10戦 総譜はこちら
対局者
(段位は当時)
黒 山下敬吾七段
白 常昊九段



  • 山下敬吾七段
  • VS

  • 常昊九段


< テーマ図(黒番) >
 私は子供のころから山下先生の激しい戦いの碁に憧れてよく棋譜を並べていました。その中から特に印象に残っている一局をご紹介します。山下敬吾七段(当時)と中国の常昊九段の一局です。白8のあと黒A、白B、黒Cと捨てるのが相場かと思いましたが――、
  • < 1図 >
     山下九段は黒1から逆に白を分断しにいきました。
  • < 2図 >
     続いて白1は当然の反発ですが、黒は2、4、6と力強く白を分断して戦います。こうなるとテーマ図で弱い石と思われた▲が戦いで働いてきます。さらに黒8が攻めの急所でした。
  • < 3図 >
     常九段は勢い白1、3と出ましたが、黒2、4で上辺の白が自然に封鎖されました。白15まで小さく生きることになっては白つらい限りです。黒16としっかり止めて黒満足の進行です。
  • < 4図 >
     前図から少し進み黒優勢の局面です。ここで黒1と右辺を囲えば穏やかですが、すかさず白2を打たれるのが少し悔しいです。

  • < 5図 >
     山下先生は黒1、3と決めにいきました。黒11まで周りの黒が厚いので白は眼を作るまで苦労しそうです。優勢な時でも最後まで厳しくいく打ち方に感銘を受けました。

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