棋士が選んだこの一手

向井千瑛が選んだこの一手

対局日 1980年2月27日
棋戦名 第4期棋聖戦七番勝負第五局 総譜はこちら
対局者
(段位は当時)
黒 藤沢秀行棋聖
白 林海峯九段



  • 藤沢秀行棋聖
  • VS

  • 林海峯九段


< テーマ図(黒番) >
 自宅に藤沢秀行先生の全集があり、よく並べました。とくに棋聖戦シリーズは印象に残っていまして、その中から第4期棋聖戦第5局、林海峰先生との一局を選びました。
 白1とひらいた局面です。盤面は広いですが、右辺△の白石に対しなにか打ってみたいところです。
  • < 1図 >
     黒1、3が感動の一手。黒1のコスミツケ、白2のノビの交換は一見白石を強くしているようにも見えますが、黒3が好手。根こそぎ攻めようという厳しい一着です。
     白からAの利き筋も気になりますが――、
  • < 2図 >
     白1には黒2と打ち以下黒14までの競り合いは黒が戦えそうです。

  • < 3図 >
     実戦の進行です。黒は地を稼ぎながら、なおかつ白の一団へ寄り付く狙いが残っています。
  • < 4図 >
     テーマ図で黒1と打ち込む手は思い浮かびそうですが、黒9まで手を抜かれ白10と大場に先着されてしまい、すこし物足りないでしょうか。
  • < 5図 >
     テーマ図から数十手進んだ局面です。
     黒1から11まで白に寄り付いていきます。テーマ図の「この一手」から連動した石運びに秀行先生の雄大な構想力を感じ、このように打てたらと思いながら並べていました。
     秀行先生は本局に勝利され棋聖4連覇を達成されました。

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