棋士が選んだこの一手

小林覚が選んだこの一手

対局日 1971年2月18日
棋戦名 第8期プロ十傑戦本戦 総譜はこちら
対局者
(段位は当時)
黒 石田芳夫七段
白 藤沢朋斎九段



  • 石田芳夫七段
  • VS

  • 藤沢朋斎九段


< テーマ図(黒番) >
 今から50年以上前に打たれたプロ十傑戦です。
 黒1の二段バネから白14までを利かしたところ。当時51歳の藤沢朋斎九段を相手に若手の石田芳夫七段(22歳)が渾身の鬼手を放ちます。
  • < 1図 >
     黒1ツケ! 相手の意表を突く奇想天外な「この一手」が勝機を呼びました。
  • < 2図 >
     白としてはこんなところで手にされてはたまらないので、実戦は白1、3と最強に抵抗します。対して黒はまず4から8と手を延ばしました。。次に黒aで隅が手になるので白9は省けませんが――、
  • < 3図 >
     黒10の切りから12とダメを詰めるのが絶妙の手順でした。白13には黒14、16がうまく24まで魔法のような手順でコウに持ち込みました。原形から見れば黒のサバキは大成功といえるでしょう。
  • < 4図 >
    ○11(5の右)
     前図の白13で1と切れば下辺は守れますが、黒2から12までを先手で利かされて、これも白がやられた格好です。

  • < 5図 >
     3図の続きの実戦の進行です。下辺に匹敵するコウ立てがない白は白1からコウ材を作り9、11の連打でフリカワリましたが、左下の白の一等地が大きな黒地に変わっては白の失敗は明らかです。ここから20手ほど打って白は投了しました。
  • < 6図 >
     初めに戻って▲のツケに白1と受ければ無難ですがいかにも利かされ。黒2を惜しみなく決めて黒4と中央を囲って黒好調です。左下は▲が何かとプラスに働きそうです。

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