< テーマ図(黒番) >
私は日本棋院の院生になる前の子供の頃、棋書を図書館から借りてきて読んでいました。その中で特に印象に残っているのは棋聖・名人・本因坊の七番勝負の観戦記です。初期の棋聖戦七番勝負のシリーズは個性的な棋士の物語があり、囲碁の高度な技術的内容は分からないものの、対局中の思考の論点・考え方は分かりやすく、それを盤上で実現させている棋士たちに魅力を感じました。この碁はその中でも特に感銘を受けた一局。黒番で中国流を布いた加藤本因坊が序盤でリードを作った場面を紹介します。左上の形、黒が安定して一段落するためにどうすれば良いでしょうか。