棋士が選んだこの一手

林海峯が選んだこの一手

対局日 1969年9月19日
棋戦名 第8期旧・名人戦七番勝負第4局 総譜はこちら
対局者
(段位は当時)
黒 高川秀格名人
白 林海峯本因坊



  • 高川秀格名人
  • VS

  • 林海峯本因坊


< テーマ図(白番) >
 旧・名人戦の七番勝負で高川秀格名人に挑んだ時の一局です。私の1勝2敗で迎えた第4局。この勝負を落とすとカド番に追い込まれてしまうので、ここが正念場です。
 序盤早々で激しい空中戦が始まり、現在の焦点は中央の攻防です。
  • < 1図 >
     ここで私は白1とツケました。攻めたい方の逆から行く常套手段で、こちらにモタれて中央の黒石を攻めるのが狙いでした。
  • < 2図 >
     左辺の黒石も強い石ではないので黒1、3と応じてきましたが、白4まで自然に中央に白石を持ってくることができました。
  • < 3図 >
     2図から20手ほど進んだ局面です。攻めながら左辺や下辺の白を好形にしつつ先手で白1にまわり、白が楽しみな形勢になりました。
     実はこの一局が思い出に残っている理由は盤外にもありました。
     この日の前日、運悪く帯状疱疹になってしまい、40度の熱が出て全く眠れずに迎えた対局だったのです。薬で熱を抑えての対局でしたが、不思議なもので対局中は痛みやかゆみも感じられず、打ちながら回復していった感じがしました。
     おかげでこの碁にも勝つことができ、最終的に名人奪取にもつながりました。

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