「世界一」何度聞いてもうっとりする響きです。昨年は一力遼棋聖の応氏杯優勝、上野愛咲美女流立葵杯の呉清源杯優勝と世界のビックタイトルを2つも日本勢が制しました。そして今年、早くも世界一になった人がいます。それは・・・りさぷー先生こと上野梨紗女流棋聖です！
　3月14―16日に行われたSENKO CUPワールド碁女流最強戦2025で梨紗女流棋聖は準決勝で盧鈺樺五段（台湾）、決勝で2連覇中の崔精九段（韓国）を破り世界戦初優勝を果たしました。この棋戦は現在唯一の日本主催の国際棋戦で2022年に姉の愛咲美女流立葵杯が日本勢として初めて優勝した特別な棋戦。梨紗女流棋聖は「ずっと前からSENKO CUPで優勝するのが目標だった」そうです。
　ということで、今回の「つるりん式観る碁のすすめ」は梨紗女流棋聖の徹底解説。覚醒した強さを分析しつつ、姉の愛咲美女流立葵杯との関係や、明るく愉快な人柄をご紹介していきます。

• つる　りさぷー先生すごいね。世界一になっちゃったよ！しかもあの崔精九段を破って！
• りん　大逆転だったね。99%負けからのヨセの妙手で逆転半目勝ち。本当に劇的だった。
• つる　大盤解説会でもりさぷー先生が逆転した瞬間にドッカンって沸いてたね。特に愛咲美ちゃんが大興奮で「ヤバイ！意外とやるかも！」って何度も言ってた（笑）。
• りん　りさぷー先生はすごい人なんですよ。相手のミスで逆転したわけだけど、それって少しのミスで逆転できるくらい近い位置に迫ってたってこと。逆転してからのヨセもすごく正確だった。もともと攻め寄りのバランス型で強かったけど、今回で覚醒したんじゃないかな。
• つる　りさぷー先生の覚醒、ワクワクする！ところで、なんで梨紗ちゃんは「りさぷー先生」なの？自分も使ってるし、今更なんだけど。
• りん　そりゃあ、愛咲美ちゃんがそう呼んでるからでしょ。
• つる　でもさ、「ぷー」って何？
• りん　いいじゃない、かわいいから。それに、名前の後に何か付けるのは上野家の伝統芸なんだよ。愛咲美ちゃんは「あさりんご」、仲邑菫ちゃんは「スミレモン」からの「レモンさん」、藤沢里菜ちゃんは「りなぽん」からの「ぽんたん」。そう考えたら「りさぷー先生」なんて名前が全部残ってるんだから分かりやすい方だよ。
• つる　なるほど？
• りん　深く考えないで「りさぷー先生」と呼べばいいのさ。
• つる　まあ、キャラに合ってるか（笑）。それにしても、上野姉妹ほど笑いが多い姉妹ってすごいよね。2人とも世界チャンピオンだよ！？ただでさえ厳しい勝負の世界、張り詰めてギスギスしてもおかしくないと思うのに、2人の周りにはいつも笑いが起こってる。
• りん　愛咲美ちゃんが我が道を行っていて、りさぷー先生はお姉さんに言いたい放題してるのがいいんじゃないかな。
• つる　2人の会話、本当に面白いよね。漫才みたい。スーパースターの愛咲美ちゃんにりさぷー先生がガンガン行くから面白い。もともとりさぷー先生は思ったことは正直に言うタイプだけど、愛咲美ちゃん相手だと全部がストレートパンチになる。
• りん　愛咲美ちゃんに「序盤ホント反省した方がいいよ」なんてりさぷー先生以外の人は絶対に言えないよ（笑）。しかも、冗談じゃない本気のダメ出し。「家でもこんな感じなんだろうな」っていうのをそのまま見せてくれる。
• つる　愛咲美ちゃんも愛咲美ちゃんでりさぷー先生には厳しいみたいだよね。「あんまり褒めてくれないし、注意するところは厳しく注意されるし、手合で当たると『きみには負けないよ』って言われる」と聞いたことがある（＊上野姉妹はお互いのことを「きみ」と呼びます。「きみさぁ、これちゃんと分かってる？」みたいに使います）。2人とも普段は礼儀正しくて気遣いができるしっかり者なのに（笑）。
• りん　SENKO CUP優勝した時も愛咲美ちゃんは全然褒めてくれなかったらしいよ。でも、イチゴタルトを買ってきてくれたんだって。
• つる　キュンとしちゃうね。素直に褒めたりなんかできないけど・・・ってやつだ。りさぷー先生も言いたい放題はしてるけど、本人に見えないところではいつも「姉はすごいです」って言ってるもんね。
• りん　いやぁ、それにしても本当に優勝はすごい。りさぷー先生はもう「世界のハンマーの妹」じゃない。「世界のりさぷー」だね！
• つる　世界のりさぷー・・・。
• りん　そうだよ、世界のりさぷー先生。
• つる　うーん・・・、もちろんそうなんだけどさ、なんかちょっと名前が弱そうじゃない？
• りん　ひらがなだからだよ。世界のリサプー、もしくは世界のRISAPUならどうよ。
• つる　もうなんだか分からなくなってる（笑）。いずれ我々でりさぷー先生に相応しい強そうな異名を考えよう。