日本、中国、韓国の代表棋士と囲碁AI代表による初の囲碁世界戦であるワールド碁チャンピオンシップ(特設サイトは こちら)の記者会見と前夜祭が3月20日に大阪市北区の「ザ・リッツ・カールトン大阪」で行われた。記者会見はテレビ、新聞を中心に日中韓の報道各社が集まり、前夜祭では棋士関係者はじめ囲碁ファン250名ほどが集まった。
出場選手は、井山裕太九段(日本)、芈昱廷九段(中国)、朴廷桓九段(韓国)、DeepZenGo(囲碁AI)。DeepZenGoについては開発チーム代表の加藤英樹氏が参加。
記者会見の後、前夜祭の中で対戦順を決める抽選が行われた。明日の開幕戦の組合せは羋昱廷九段―DeepZenGo、朴廷桓九段―井山裕太九段(下表の順)となった。
21日から23日まで行われ、同率の場合は24日にプレーオフが行われる。
3選手と加藤氏の記者会見での主な内容は以下の通り。
※DZGはDeepZenGoの略
(大会に際して)
井山裕太九段 光栄の一言。厳しい戦いになると思うが、ベスト尽くせばチャンスはあると思う。
朴廷桓九段 日中韓AI最善を尽くしていい結果が出せたらいいと考えている。
芈昱廷九段 多くの皆様の注目をいただいているので、最善を尽くしたい。
加藤英樹氏 わたくしが打つわけではないのですが(笑)わくわくしている。Zenの心境を私が代わりに語ってみますと、「3日連続で打つことになりますが、疲れを知らないZenに優位性があるのではないかと感じています」
(井山九段は世界戦に余り出られていない。印象は?)
朴九段 井山九段との対局はかなり少ないが強いと考えている。もっと海外で出てきてくれたらいいが、棋譜の研究はしていて、強さは感じている。
芈九段 井山さんは非常に強い方ですし、農心杯で1局負けたような記憶もあるので(2015年3月の第11戦で対戦。井山の黒中押し勝ち)、井山さんから学びたいと考えている。
(AIとの対決はどんなものになるのか? 加藤さんの勝算は?)
井山九段 AIが加わったことで本大会に大変な注目をを集めている。大会成立に尽力してくださった皆様への感謝とともに全力を尽くしたい。
加藤氏 1回は勝ちたい。電王戦では「1回勝ちたい」願いがそうなった。一発勝負で、持ち時間が長いので、ちょっと予想できない。3選手とも囲碁AIとの対局をしたり見たりしているので、どんなことになるのか見当もつかない。
(AIの強さをどう感じているのかもう少し具体的に)
井山九段 疲れない、心理的なゆれがないのが大きいと考えている。人間だったら、形勢不利のときに勝負手をはなったり勝負のゆさぶりなどかけたりするのが、人間の対局のよさ、面白さではないかと考えている。
朴九段 AIの場合、計算能力が高い、形勢がいいときの処理能力が優れていると考えている。
芈九段 AIの大局観は人より劣ると思うが計算の面ではAIがはるかに上回っている、比較的AIが優位なのではないか、と考えている。
対戦表
DZG | 芈 | 朴 | 井山 | |
---|---|---|---|---|
DeepZenGo(囲碁AI) | ー | 3/21 | 3/22 | 3/23 |
芈 昱廷九段(中 国) | 3/21 | ー | 3/23 | 3/22 |
朴 廷桓九段(韓 国) | 3/22 | 3/23 | ー | 3/21 |
井山裕太九段(日 本) | 3/23 | 3/22 | 3/21 | ー |
参考
日中韓トップ棋士と囲碁AIによる世界大会「ワールド碁チャンピオンシップ」を開催
「ワールド碁チャンピオンシップ」中国・韓国代表棋士が決定