井山裕太碁聖に許家元七段が挑戦する第43期碁聖戦挑戦手合五番勝負【主催:新聞囲碁連盟】の第3局が8月3日(金)に大阪府大阪市の「日本棋院関西総本部」で行われた。
結果は224手まで許が白番中押し勝ちをおさめ、シリーズ成績3勝0敗で碁聖を奪取した。終局時刻は19時35分。持時間4時間のうち残り時間は両者ともに1分だった。
許は20歳7ヶ月で史上最年少碁聖となった(これまでの記録は平成12年の第25期に山下敬吾七段(当時)が碁聖を獲得したときの21歳11ヶ月)。
また、入段から5年4ヶ月での七大タイトル奪取となり史上最速記録となった(これまでの記録は平成27年に伊田篤史八段が十段を奪取したときの6年0ヶ月)。
20歳7ヶ月での七大タイトル獲得は史上3番目の年少記録(最年少記録は平成21年に井山裕太八段(当時)が名人を奪取したときの20歳4ヶ月)。
許は碁聖獲得で規定により4日付で八段に昇段となる。
井山の碁聖7連覇はならなかった(碁聖6連覇は大竹英雄名誉碁聖、小林光一名誉碁聖に並ぶタイ記録)。
井山は平成29年10月に名人を奪取して二度目の七冠独占(棋聖・名人・本因坊・王座・天元・碁聖・十段)を達成。その後、王座、天元、棋聖、十段、本因坊の順に5棋戦を防衛していた。10月18日から続いた七冠独占は「290日」だった。(1回目の七冠独占は2棋戦防衛、「197日」)
井山は今回の碁聖戦が自身49回目の挑戦手合で敗退は8回目。ストレート負けは初。
両対局者局後のコメント
許七段「ずっと悪かったんですけど、中盤ハネた時は結構いい勝負になったのかなと思った。でもその後のシノギがまずかったです」
(勝ちを意識したのはどの辺りか)「本当に最後の最後ですね」
(今シリーズを振り返って)「1局目と今日の碁はずっと悪かったので、運がよかったと思います」
(入段から5年4ヶ月のタイトル獲得は最速となるが)「早かったと思います」
(史上最年少の碁聖位となるが)「特に意識はなかったです。挑戦が決まったときも井山七冠と打てるだけで、正直取ると思っていなかったです」
井山碁聖「序盤からずっとよくないと思っていて、基本的には苦しいかなと思って打っていたんですけど、左辺からの戦いで少しチャンスが来たかなと思ったんですけど、いろいろ正しく打てていなかったように思います。ただ、はっきりこうしておけば良かったというのもよく分からないので、今の自分なりに精一杯やったかとは思います」
(今シリーズを振り返って)「3局通してやはり苦しい時間帯が長かったので、この結果も致し方ないかなというところもあるんですけど、少しチャンスが来た局面もあったと思うんですけど、そこでなかなかそれをものにすることができなかったというのが少し残念というか、力不足だったと思います」
(七冠が崩れたことについて)「七冠という状態は普通の状態ではないと思っていたので、そこに関してはそんなに意識は強くはなかったんですけど、シリーズとして3局で終わってしまったのは残念ではあります」
第43期碁聖戦挑戦手合五番勝負第3局
黒:井山裕太碁聖 白:許家元七段
(幽玄の間解説:村松大樹六段、日本棋院囲碁チャンネル:解説:石田篤司九段)
碁聖戦挑戦手合五番勝負は、日本棋院ネット対局「幽玄の間」、YouTube「日本棋院囲碁チャンネル」でライブ中継いたしました。