日本、中国、韓国の代表棋士と囲碁AI代表による初の囲碁世界戦ワールド碁チャンピオンシップ(特設サイトは こちら)の3日目が3月23日に大阪市北区の日本棋院関西総本部で行われた。
23日は総当たりリーグ3回戦の2局が打たれた。持時間は3時間。
2日目までの結果、全勝対決となり、実質「優勝決定戦」となった朴廷桓九段(韓国)-芈昱廷九段(中国)戦が先に終局。190手までで芈が投了。朴が白番中押し勝ちをおさめ、リーグ3戦全勝で優勝を決めた。終局は15時55分。持時間3時間のうち残り時間は黒45分、白4分だった。
「3、4位決定戦」になってしまった井山裕太九段(日本)-DeepZenGo(囲碁AI)戦だが、注目度はピカイチ。朝から多くの報道陣が終局を待っていたが、16時43分に終局。235手までDeepZenGoが井山に黒番中押し勝ちをおさめた。DZGは待望の初勝利。井山は無念の3連敗となった。持時間3時間のうち残り時間は黒52分、白2分だった。
【おことわり】
※DZGはDeepZenGoの略。
局後のコメント
韓国代表・朴廷桓九段のコメント
AIの大会参加は楽しみと思う気持ちがある一方、とても強くて進歩がはやいので、怖いとも感じている。今回、どの碁も苦戦だったが、一番苦しかったのはDZGとの碁だったと思う。いつ投げてもおかしくないくらいだったが、簡単に投げられる大会でもなく、勝負を諦めずに対局していたことが功を奏した。
DeepZenGo開発チーム代表・加藤英樹氏コメント
開発チームの想定以上にDeepZenGoが成長していて、中韓代表のお二人との対局も途中までは善戦していた上、井山先生に勝つことが出来て望外。本大会を経験して、強い人と打たないとわからない課題がわかり、結果以上の収穫があったように思う。
日本代表・井山裕太九段のコメント
今日の碁について、序盤について自分は白が「まずまず」というくらいに判断していた。ああしたワカレにはなったが見た目ほどDZGは悪くないと思う。それが途中から雲行きが怪しくなり、ハッキリしたチャンスがなく寄り切られてしまった。
(3戦を振り返って総括すると)不甲斐ない結果になってしまった。中韓戦はチャンスがあったのに逃してしまい悔しい。結果を出せず、申し訳ない気持ちでいっぱい。
(人工知能との正式な対局について)人工知能だから、とは考えず普段通り「自分の力を試す」つもりで打った。下辺でいじめられ辛い生きを強要されてから的確に打たれて形勢が離れてしまった。
(DZGの強さについてを問われて)本大会、世界トップクラスの韓国の朴九段、中国の芈九段を相手に途中までいい内容だったので、他の人工知能ソフトに比べてそんなに差はないと思います。
(山城副理事長が表彰式で次回の大会について話したことを問われ)次回、私が出るかどうかはもちろん決まってませんが、チャンスがあるのならリベンジしたい。
(写真撮影・長尾迪)
ワールド碁チャンピオンシップ3回戦
黒:芈昱廷九段 白:朴廷桓九段 白中押し勝ち
ワールド碁チャンピオンシップ3回戦
黒:DeepZenGo 白:井山裕太九段 黒中押し勝ち
対戦表
DZG | 芈 | 朴 | 井山 | 勝敗 | 順位 | |
---|---|---|---|---|---|---|
DeepZenGo(囲碁AI) | - | ●(3/21) | ●(3/22) | ○(3/23) | 1-2 | 3位 |
芈 昱廷九段(中 国) | ○(3/21) | - | ●(3/23) | ○(3/22) | 2-1 | 準優勝 |
朴 廷桓九段(韓 国) | ○(3/22) | ○(3/23) | - | ○(3/21) | 3-0 | 優勝 |
井山裕太九段(日 本) | ●(3/23) | ●(3/22) | ●(3/21) | - | 0-3 | 4位 |
〈3月21日〉
1回戦
△芈 昱廷九段 中 押 DeepZenGo
△朴 廷桓九段 中 押 井山裕太九段
〈3月22日〉
2回戦
△朴 廷桓九段 中 押 DeepZenGo
芈 昱廷九段 2目半 △井山裕太九段
〈3月23日〉
3回戦
朴 廷桓九段 中 押 △芈 昱廷九段
△DeepZenGo 中 押 井山裕太九段
(左側が勝者。△印は先番)
ワールド碁チャンピオンシップは、日本棋院ネット対局「幽玄の間」で全局解説付きでライブ中継いたしました。
ホテル阪急インターナショナル、日本棋院東京本院(詳細)、梅田囲碁サロン(詳細)で大盤解説会が行われました。
囲碁プレミアム、 囲碁・将棋チャンネル、YouTubeライブ、ニコニコ生放送で中継されました。