囲碁の効能

囲碁は集中力が身につき、創造力を育み、発想が豊かになる頭脳ゲームです。
創造性、医学、コミュニケーション、教育の分野での効能が注目されています。

創造性

 盤上の交点ならどこに打ってもよい自由なルールで「かたち」を創り上げていくのが囲碁です。  破壊・征服を目的とした他のゲームには無い創造性があります。  丸暗記や詰め込みだけでは囲碁は上達しません。この創造性が発想を豊かにするのです。

医学的実証

 人間の脳は通常、左脳で計算・暗記・論理的思考機能を受持ち、また右脳は感覚的・形や空間等の認識、大局的視野での判断力を受持つと言われています。
 人間は左脳右脳の両方をうまく使うことが大事なのに、左脳人間が多いそうですよ。

 囲碁は特に右脳を使うゲームです。
 医学的にも囲碁は右脳を刺激し、判断力を高め、ストレス解消に効果があることは既に認められています。

 さらには、ボケ防止・脳卒中のリハビリ、予防面でも囲碁の効能が注目されています。

コミュニケーション

 囲碁は子供からお年寄りまで誰でも生涯楽しめるので、見知らぬ人同士でも囲碁を通じたら、すぐ仲良くなれます。

 現代社会で希薄になりつつある家族・師弟・先輩等との年代を越えたコミュニケーション、地域社会でのコミュニケーション、世界各国との交流に大変役に立ちます。
 年齢、性別を問わず、国境も関係無く誰でも楽しめる囲碁は本当に素晴らしいものなのです。

子どもの教育

 囲碁は「集中力」を身につけ、「バランス感覚」を養うことで物事の価値判断をする練習になり、子どもの人格形成に役立ちます。
 また囲碁は当然、相手との対戦で勝ち負けが生じます。

 自分の考えで打った碁の勝ち負けは自分の責任で自己評価しなければなりません。この勝ち負けによる喜び、悲しみの葛藤が子供たちを大きく成長させ「生きる力」を養うチャンスにもなります。

 そして、何より大事なのは、囲碁で子供同士や年代を越えた人と接することによって「人を思いやる気持ち」「感謝の心」が芽生えてくることです。

今、クラブ活動としてだけでなく正課授業として囲碁を取り入れる小学校や高校等がでてきました。

囲碁は考える力を向上させる

東北大学川島隆太教授による研究概要 「 囲碁は考える力を向上させる 」
発表内容は下記の通りです。

2007年7月17日 財団法人日本棋院

研究概要

東北大学川島隆太教授に委託研究を依頼し、このたび報告があった。

(1) 実施時期
平成18年1月~平成19年4月まで延べ4回の実証実験を実施。
(2) 対象・人数
囲碁を全く知らない小学生(低学年中心)各回30~40名が参加。
(3) 講座と検査
3ヶ月間(週1回1時間)の囲碁入門講座を4回実施。
講座開始時と3ヵ月後の終了時の2回テストを実施。
テスト結果130名の有効データをもとに解析。
2006年囲碁講座の記事日本棋院が子供の指導経験の豊富な講師による講座を実施。9路盤で対局できるレベルを目標とした入門講座。参加書のほとんどが9路盤で打てるようになる。

検査方法

 講座開始時、3ヵ月後の講座終了時にテストを行い、変化を検証。
 川島教授の指導により、認知機能の中で(1)思考力、(2)短期記憶力、(3)総合的な作業力を検査。

認知機能検査のタイミング

解析結果

 3種の検査すべてにおいて、講座開始時と3ヵ月後の講座終了時の検査を比較すると成績は向上した。

東北大学川島教授による考察

 囲碁教室に通った児童たちの成績の有意な変化は囲碁を学んだ事に起因するものと推測する。

囲碁教室に通い始める前と、囲碁を始めてから三ヶ月後の認知機能の比較結果

1 トポロジー検査
2 即時再生検査
2 Digit-symbol検査
学年 人数 Topo前 Topo後 即時前 即時後 DST前 DST後
1 58 3.3(0.2) 3.9(0.2) * 3.6(0.4) 5.7(0.6) ** 18.2(1.0) 22.8(1.1) **
2 30 3.9(0.4) 4.8(0.3) * 5.1(0.6) 5.5(0.6) 23.5(1.5) 28.1(1.3) **
3 25 4.1(0.5) 5.6(0.3) ** 6.6(0.9) 9.6(1.5) ** 23.5(1.8) 34.2(1.5) **
4 11 5.5(0.5) 6.0(0.4) 5.0(1.1) 9.0(2.0) * 29.8(2.1) 39.0(3.1) *
5 6 6.7(0.8) 6.0(0.6) 6.0(0.9) 11.0(2.2) * 29.3(3.0) 38.2(5.2) *

(  ) 内の数値は標準誤差を示す
 *** は前後の検査値に統計的な有意差があったもの (それぞれp < 0.05とp < 0.01)。

三ヵ月後に大幅な得点の増加を示した

結論

 本研究の結果より、囲碁教室に通う子ども達が3ヵ月間の週1回1時間の囲碁を学ぶことによって認知機能が向上することが確認できた。
 囲碁教室に通うことによって幅広く前頭前野をはじめとする脳機能がより発達したためと考えることができる。