決め手は決断力!―「剛毅果断」な伊田篤史八段「つるりん式観る碁のすすめ~こぼれ話」


決め手は決断力!―「剛毅果断」な伊田篤史八段




 ここでは週刊碁連載中の「つるりん式観る碁のすすめ~四字熟語編」で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。

 つるしもりん(つるりん+下島陽平八段)による中部棋士編第1回目は伊田篤史八段でした。本編では伊田八段に当てはまる四字熟語が簡単に決まったような印象を受けるかもしれませんが、実は「剛毅果断」以外にも様々な候補があり、選定には時間がかかりました。

 伊田八段の碁は昔と今で受ける印象が違います。つるりんは「昔の伊田くんはとにかく大石を取っていた。こちらがガードしていても、そのガードごと粉砕してしまうような破壊力がすごかった」と言います。しかし、今は「ガードごと粉砕するような強引さはないけれど、そっちがちゃんと守らないなら取りに行くよ、という怖さを感じさせるし、逆にそっちが来るなら受けて立つよ、というスタンスを取ることもある」そうです。下島八段の取材によると、伊田八段は「囲碁AIでみんなのサバキが上手くなったんです。石が取れなくなったんで、取るものを変えました」と言っていたとか。伊田八段が石の代わりに取るようになったもの、それは地なのか、厚みなのか...。いずれにしても著しく芸域を広げたことだけは確かです。



思い切りの良さは随一!決断力に富んだ伊田篤史八段

 このように伊田八段の棋風は変化したので、昔と今、両方に当てはまる四字熟語を探すのに苦労しました。他に候補に挙がったのは「勇猛果敢」(つるりんに「これだと襲いかかるイメージだけど、今の伊田くんは来るなら来いよ的なところもある」と却下されました)、「勇気凛々」(下島八に「勇気だけだとちょっと伊田くんのイメージと違う」と却下されました)などです。しかしどの四字熟語もピッタリきませんでした。その中で唯一「剛毅果断」は、攻めるにしてもサバくにしても決断力がものをいうし、伊田八段の負けず嫌いで意思が強い人柄にもよくマッチしていると、つるしもりん全員の賛同を得ることができました。
 いつもふざけているようで、けっこう真剣に考えているんです!

記・編集K