日韓中勝ち抜き団体戦・農心杯第3ラウンド直前スペシャル(第1部)―第1、第2ラウンド振り返り
日本中の囲碁ファンが狂喜乱舞する出来事が昨年11月末に起こりました。そう、井山裕太九段の第23回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第2ラウンド4連勝です!
そこで、週刊碁に連載中の「つるりん式観る碁のすすめ~四字熟語編」では2月21日に始まる第3ラウンドに向け、今週から3回にわたって出場者を紹介することにしました。今週は世界一の呼び声高い韓国の申眞諝九段。第2回は中国の柯潔九段、第3回は日本の井山裕太九段を取り上げます。みなさま、ここはぜひ、週刊碁を買って、応援してくださいね!
ということで、WEBコラム「こぼれ話」でも農心杯について取り上げます。第1部の今回は農心杯がどんな大会なのかをざっくりとご説明した後、第1、第2ラウンドを振り返っていきたいと思います。
農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦(主催・韓国棋院)は日本、韓国、中国の3ヵ国による勝ち抜き団体戦。1999年に創設された歴史ある世界戦です。出場者は各国のトップ棋士5人で、先鋒から順に対戦。勝った選手はそのまま戦い、負けた選手は交代。最後まで勝ち残ったチームが優勝します。「世界最強戦」の名前通り、世界最高峰の総力戦です。
過去22回の歴史の中で日本の優勝は2006年の1度だけ。その後はずっと最下位の3位に終わっていました。韓中に差を見せつけられ、盛り上がるよりも切なくなる......。そんな日々が続きました......。
しかし、そんな切ない日々に終止符を打つチャンスを井山九段がつくってくれました! 現在、日本が残り3人、中国が2人、韓国が1人と日本が首位に立っています!
ここまでの流れを振り返りましょう。第1ラウンドでは芝野虎丸九段が先鋒で出場。韓国の元晟溱九段に敗れてしまいましたが、続く許家元九段が1勝を返し、日韓中が1勝1敗で並びました。許九段が次に対戦したのは韓国の朴廷桓九段。世界一を何度も経験した実力者の壁は高く、許九段はここで敗退。第1ラウンドは韓国が2勝1敗と一歩リードして幕を閉じました。
第2ラウンドの初戦は韓国の朴九段対中国の范廷鈺九段。范九段が勝って、韓国、中国が2勝で並びました。ここで井山九段の登場です。中国の范九段、韓国の卞相壹九段、中国の李欽誠九段、韓国の申旻埈九段に4連勝。一気に日本が首位に躍り出ました。
井山裕太九段、農心杯第2ラウンドで怒涛の4連勝!
- りん「全員が世界戦優勝経験者。そこに4連勝するのは信じられないくらいすごいこと。特に卞九段は今韓国で一番勢いがある若手。そこにしっかり勝てるなんて...。井山さんは今とても充実しているのだと思った」。
- つる「初戦の范九段と最終戦の申九段との対局は逆転勝利だった。世界トップレベルに逆転できるというのが本当にすごい。井山さんが自信を持って打っているのが伝わるからか、途中悪くても最後は勝ってくれるに違いないという安心感があった」。
「世界一」という言葉の響きの、なんと甘美なことでしょう。井山九段の4連勝は日本が久しく遠ざかっていた「夢」をグッと引き寄せてくれました。
夢は現実のものになるのか。韓国の申眞諝九段、中国の柯潔九段、羋昱廷九段、まだまだ世界最強の壁は続きます。日本チーム(井山九段・一力遼九段・余正麒八段)の健闘を祈って、応援しようではありませんか!!