相伝する絵心!?―3世代女性棋士、お絵かきの系譜「つるりん式観る碁のすすめ~こぼれ話」


 ここでは週刊碁連載中の「つるりん式観る碁のすすめ~四字熟語編」で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。(つる=鶴山淳志八段、りん=林漢傑八段

 さっそくですが、問題です。この絵を描いた棋士は、それぞれ誰でしょう?




 みなさん、用意はいいですか?それでは、答え合わせといきましょう。

 まずは左上の絵、これは小林禮子七段のものでした!




 ねずみ年の年賀状に自筆のネズミのイラストを添えてらっしゃいます。文章を読むと、「チュウ級講座を担当させていただきます。ゴチュウイ、ゴチュウコクお願いします」とありますね。もらった方を間違いなくクスッとさせただろう、ユーモアあふれる素敵な年始のご挨拶です。
 もう一つ、『木谷道場入門 囲碁入門』木谷實・禮子著(河出書房新社)からイラストを紹介します。




 禮子七段は動物好きでしたが、中でも特にウサギが好きだったそうです。「もしかしたらウサギ年だったからかも」と泉美七段はおっしゃっていました。ウサギにとどまらず、怪我をした野生のスズメを保護するなど動物への愛が溢れていた禮子七段。自然とイラストのモチーフは動物が多くなりましたが、時には人のイラストを描くこともあり、幼い頃の泉美七段が初めて美容院に行った時は「この髪型にしてください」と、お母さまの禮子七段が描いた女の子のイラストを美容師さんに見せて注文したそうです。

 次は右下の絵、こちらはご覧になったことがある方もいらっしゃるでしょう。小林泉美七段の絵付きサイン色紙です!




 泉美七段はネコが大好き。ネコ&囲碁、2大好きなものを掛け合わせたイラストをよく描いてらっしゃいます。左上、ぴとっと黒ネコちゃんにツケられた白ネコちゃんの顔がたまらなく可愛いですね!突然好意(?)を示されて動揺するネコ心がよく表れています。
 もう一つ、下の3匹のネコちゃんたち、こちらもとっても可愛らしいです。黒ネコちゃんの堂々としたワリコミに2匹の白ネコちゃんはビックリ!この2枚を見る限り、どうやら黒ネコちゃんはとても積極的な性格のようです。

 続いては左下の絵、こちらはなんと、泉美七段の長女、張心澄初段が7、8歳の頃にお絵かき教室で描いた絵です!




 構図、色彩、いずれも魅力的で、部屋に飾ってあったら気持ちが明るくなりそうな作品です。絵心がない私、編集Kは心澄初段が小学校低学年でこの絵を描いたと聞いてすぐに「天才だ!」と思いました。
 モチーフは知恵の象徴であるフクロウ。そしてもう一つ、花言葉が「家族団らん」のアジサイもどうぞ!一家そろって棋士という張家らしい題材ですね。

 最後は右上の絵、こちらは小学4年生だった泉美七段の次女、張心治初段が図工の時間で制作したものです!




 今年、姉の心澄初段に続いて入段した心治初段。先日初手合いに臨み、名実ともに棋士としてのキャリアをスタートさせました。
 絵の才能もご覧のとおり。堂々とした迫力のあるライオンですね!泉美七段によれば、この絵は家族みんなが気に入って玄関に飾られているとか。
 禮子七段、泉美七段、心澄初段、心治初段、四者四様、それぞれの絵にそれぞれの味わいがあって、とても素敵です!

 ということで、今回の「こぼれ話」では4世代にわたって囲碁の愛を伝える囲碁一家のもう一つの伝統、禮子七段→泉美七段→心澄&心治初段の3世代女性棋士に伝わる絵心をご紹介しました。

記・編集K