七夕に結ばれた2人へ~棋士夫婦の先輩、林漢傑八段から勝手に祝辞「つるりん式観る碁のすすめ~こぼれ話」


 ここでは週刊碁連載中の「つるりん式観る碁のすすめ~四字熟語編」で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。(つる=鶴山淳志八段、りん=林漢傑八段

 去る7月15日、碁界に衝撃が走りました!!なんと、星合志保三段孫喆七段が7月7日の七夕に入籍したというのです!!!



祝・結婚!!星合志保三段と孫喆七段

 このおめでたいニュースにひとこと言わせてほしいと名乗りを上げたのが、我らが林漢傑八段です。林八段は鈴木歩七段と結婚して10年目。過去に「夫婦杯」という棋士夫婦によるペア碁大会で優勝したこともあり、言うならばこの件に関する屈指の有識者というわけです。「ここは一つ、僭越ながら棋士夫婦の先輩として心からの祝意と、お二人の結婚生活のはなむけに実体験に基づいた有益かもしれないアドバイスを伝えたい」ということで、勝手に祝辞を贈らせていただきます。


【 棋士夫婦代表・林漢傑八段の祝辞 】

 ただいま紹介に預かりました、棋士夫婦仲間の林漢傑です。まずは、星合志保さん、孫喆さん、ご結婚まことにおめでとうございます。私はお二人がこの棋士夫婦連盟に加入されたことが嬉しくてなりません。嬉し過ぎて、今までツイッターは見る専門だった私が星合さんの結婚報告ツイートにどうしても引用リツイートをしたくなって、ついに本格的に始めてしまったほどです(笑)。

 私と星合さんは実は縁が深くて、星合さんの新初段シリーズの相手が私です。入段当時から物怖じせず、ハキハキしていて、明るくて、一目で碁界の宝だと思いました。今、星合さんはNHK杯の司会をはじめ多方面で才能を発揮されていて、さすが私の目に狂いはなかったと言いますか(笑)、私は特に何もしていないですがとても誇らしい気持ちです。
 孫さんとも何度か一緒に仕事をさせていただいて、静かな中にユーモアと優しさのある方だなと感じています。一度私が妻の歩さんが対局で負けそうな時に中継モニターにかじりついていたところを、孫さんに慰めてもらいつつ一緒に観戦してもらったことがありました。結局その碁は妻が勝ったのですが、そしたら今度は一緒にすごく喜んでくれました。うっかり星合さんより先に私が孫さんと苦楽を共にしてしまいました。・・・ゴメンナサイ(笑)。

 星合さんと孫さんが幸せな家庭を築くであろうことは疑いようがありませんが、一応、棋士夫婦10年目の先輩ということで、私から2点アドバイスを贈らせていただきます。

 私の妻、歩さんはたいへん素晴らしい女性ですが、1つだけ欠点があって、それは眠くなるととても不機嫌になる、ということです。というのも歩さんは寝るのが大好きで、どのくらい好きかというと、人生で一度も大晦日から起きたまま正月の朝を迎えたことがないというくらいです。いつもかならず10時頃には布団に入って寝ています。
 歩さんの例を考えると、人は好きなものが十分に取れないと不機嫌になる傾向があるようです。星合さんは食べるのが好きと聞くので、孫さんはまず星合さんがたっぷり食べるための時間をなるべく邪魔しないようにして、できれば美味しい物を用意などするといいかもしれません(笑)。

 あと、これは私が趙治勲名誉名人から結婚した時に言っていただいたことなのですが、やはり棋士が棋士に惚れるのは碁の実力や才能、姿勢の部分が大きいだろうから、碁を頑張ることが夫婦の絆を強くすることに通じるということです。私は「歩さんは漢傑くんの人柄と碁の両方に惚れてるんだから、碁をちゃんと頑張りなさい」と治勲先生に声を掛けていただいてすごく納得しましたし、私自身、歩さんの人柄と同じくらい歩さんの碁が大好きです。普段の努力や勝った時の喜び、負けた時の悔しさを分かち合えるのが棋士夫婦の醍醐味だと思うので、お二人にはぜひお互いに刺激し合って、それぞれに活躍していってほしいと思います。

 以上をもちまして私の祝辞とさせていただきます。では、皆さまグラスを手に取ってください。星合さん、孫さんの幸せと健康を祈って・・・乾杯!!!

記・編集K