名門「高林門下」新人王の系譜「つるりん式観る碁のすすめ~こぼれ話」


 ここでは週刊碁連載中の「つるりん式観る碁のすすめ~四字熟語編」で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。(つる=鶴山淳志八段、りん=林漢傑八段

 今回は万事において正統派、富士田明彦七段が登場しました。富士田七段は棋聖戦Bリーグで鈴木伸二七段と挑戦者決定トーナメント進出をかけて戦います。挑戦手合という夢の舞台へ近づく重要な一局なので、両者気合の入った熱戦が繰り広げられること間違いなしです。
 もう一つ、富士田七段、鈴木七段ともに北海道出身であることから、この一局は「道産子対決」としても注目されています。つる&りんが鈴木七段の異名「ウニ」に対抗して富士田七段を「メロン」と命名していましたが、果たして定着するでしょうか...。

 さて、今回富士田七段にちなんで皆さまにご紹介したいのは知る人ぞ知る名門「高林門下」です。高林拓ニ七段は2019年にお亡くなりになりましたが、生前は後進の指導に力を入れられ、富士田七段、許家元十段ら多くの棋士を育成しました。
 高林門下の棋士には実力者が多く、それぞれさまざまな棋戦で活躍していますが、特に新人王戦で無類の強さを発揮することで有名です。以下、新人王戦で活躍した高林門下棋士を列挙しました。(段位は当時)

2013年・第38期新人王 富士田明彦三段
2015年・第40期新人王 許家元三段
2021年・第46期新人王 外柳是聞三段

2019年・第44期新人王戦準優勝 小池芳弘四段
2018年・第43期新人王戦ベスト4 張瑞傑二段

 高林門下の棋士は7人。そのうち5人が新人王戦でベスト4以上に入ったことがあり、3人が新人王になっているというのは驚きです。



左から富士田新人王、許新人王、外柳新人王【写真提供:しんぶん赤旗】

 新人王戦の出場資格は予選開催年8月1日時点で25歳以下、六段以下であること。現在高林門下棋士でその基準を満たすのは張瑞傑五段(23)と日野勝太初段(17)です。今後さらに高林門下から新人王が誕生するのか、新人王戦を追いかける際はぜひここを一つの注目ポイントにしてみてください。

記・編集K