ここでは週刊碁連載中の「つるりん式観る碁のすすめ~四字熟語編」で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。(つる=鶴山淳志八段、りん=林漢傑八段)
今回は柳澤理志六段をゲストに招いての中部棋士スペシャル最終回。最後に登場したのは中部のお父さん的存在、山城宏九段でした。山城九段の棋風は水が染み入るかのようにじわじわといつの間にかリードを奪う「浸透流」。余分な力を使わず、石の方向と力学で華麗に勝っていく様はまさに「達人」です。
さて、そんな「碁の達人」である山城九段は「書の達人」でもあることはご存じでしょうか。棋士は何かと揮毫する機会の多い職業。書が上手い棋士はたくさんいらっしゃいますが、実は、中部には特に書の達人が多いらしいのです。そこで本コラムでは、柳澤六段に中部の達筆棋士5人を選出していただきました。
山城宏九段
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まずは山城九段から。「慈愛」の二文字からはお人柄通りの包容力を感じます。パサパサに乾いた心もこの書を見れば染み入るように潤ってきそうな気がします。
羽根直樹九段
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続いては羽根直樹九段の書。こちらの背筋が伸びるような凛とした雰囲気を感じます。平成四天王では高尾紳路九段が達筆で有名ですが、羽根九段の書も同じくらいファンが多そうです。
下島陽平八段
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こちらは真剣にボケることに命を燃やす(?)下島八段の書です。書いてある言葉のズッコケ感とは裏腹にあまりにも書が堂々としていてバランスがいいので、うっかり名言が書かれているのでは!?と錯覚しそうです。中身も含め、クセ強めがお好きな方におススメな書です。
伊田篤史九段
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若手書道家(?)では伊田九段が人気です。伊田九段のすごいところは書く言葉によって書体を書き分ける芸の細かさではないでしょうか。力強い棋風がベースにありつつ、繊細なヨセ勝負も得意とする伊田九段らしい達筆ぶりです。
加藤千笑二段
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こちらは達筆5傑の最若手、加藤二段の一枚。とにかく堂々としていて気持ちがいい、ずっと見ていたい書です。
柳澤六段によると中部総本部には書道部があるそうです。羽根九段、加藤二段をはじめ、多くの棋士が参加する人気の部活なのだとか。中部に達筆の棋士が多いのは日々研鑽を積んでいるからかもしれませんね。
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