ここでは週刊碁連載中の「つるりん式観る碁のすすめ~四字熟語編」で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。(つる=鶴山淳志八段、りん=林漢傑八段)
今回はさわやか癒し系イケメン棋士、瀬戸大樹八段が登場しました。つる&りんと同年代でありながら今も昔と変わらぬさわやかさを維持する瀬戸八段は内面も非常にさわやか。「せっちゃんが嫌いな人は世の中にいるはずがない」「彼が毒を吐いたり黒いことを言ったりしているのを聞いたことがない」とつる&りんが断言するほどです。次回から瀬戸八段をゲストに関西棋士編が始まります。最近自他共にさわやかさが失われてきていると認めるつる&りんコンビにどのような風を吹き込んでくださるのかとても楽しみです。
さて、そんな瀬戸八段はそのそよ風のようなさわやかさゆえに普段、人前で羽目を外すということがありません。しかしあるものを前にした時だけは、目の色が変わり、口調に熱気を帯びて、時に絶叫してしまうことがあるらしいのです。そのあるものとは、サッカーです。
瀬戸八段は横浜Fマリノスの大ファンで、よくゴール裏で応援歌を歌っているそうです。さらにヨーロッパサッカー、特にスペインサッカーへの造詣が深く、大好きなサッカーチーム、バルセロナを応援するために4回スペインへ渡ったことがあるとか。土日は基本サッカーを観るために予定を入れず、バルセロナの試合が中継される時には何時であろうとテレビの前でスタンバイ。その情熱はおそらく囲碁棋士NO1でしょう(瀬戸八段いわく「将棋の渡辺明名人や深浦康市九段は自分と同じかそれ以上の情熱をサッカーに対して持っていると思う。サッカー通としてとても尊敬している。叶うならいつかサッカーのお話をしてみたい」そうです)。
そんな瀬戸八段が最も我を忘れて狂喜したのが2005年の日本対ブラジル戦です。明け方4時頃、先輩の家でその一戦を観戦していた瀬戸八段は中村俊輔選手がゴールを決めた瞬間に、そこが先輩の家で、先輩には奥さんも子どももいて、みんなが寝ていることも忘れて、「ウオ―!!!」と今まで出したことがないような大声で叫んでしまったそうです(そしてもちろん怒られたそうです)。
瀬戸八段は言います。「あの時の無回転シュートには本当に心が震えました。あんな興奮は囲碁では感じたことがない。サッカーはすべてを解き放つための大切な時間です」と。