棋士の信田です。強度の弱視の岩崎晴都君(小学6年生)を紹介します。
囲碁を覚えたのは小学校2年の時、家の近くに祖父母が経営するテナントに碁会所が入り、そこで教わったということです。
それからは囲碁が大好きになり夢中でやっていたようです。
2年前の12月に木谷正道さん主催の「囲碁と心のうたコンサート」を主催した折、晴都君は棋士の水間七段に教わる機会があり、その日は5子から始めて何局も打ち、最後には7子でも負けたと言っていました。
その子をその後僕が指導することになり、2年たった今、2子でも立派に打てるところまで来ました。(埼玉県にあるアマトップクラスの曽我部さんが経営する指扇囲碁クラブに通い、そこにはあの有名な中園さん以下アマ強豪が集まっていて、そこでも腕を磨いています)僕と打つのは日本棋院「幽玄の間」のネットで打ちます。
パソコンに、ほとんど顔をくっつけるようにして、打つのですがシチョウなど僕よりしっかり読めるほどです。今彼はプロになるため院生を目指していますが、碁盤(普段は愛碁という目が見えなくても打てる特別な碁盤を使っています)の問題などがあり、課題・試練は多くあります。
持ち前の明るさでそこを何とか乗り越えてくれると信じています。
もし彼が囲碁で将来を明るくすることができたなら、そういうハンデーを背負っている多くの子供たちに、夢や勇気や力を与えられるのではないかと期待します。
僕の力ではこの先は難しいとは思いますが、今できることを僕なりにやっていけたらと感じています。
彼一人ではとても大変です。皆様が応援してくれることできっと励みになると思います。
応援をよろしくお願いします。頑張れ晴都君!!
ブラインド囲碁協会(全盲の方たちも囲碁を楽しむための協会)が携帯用ブラインド碁盤(愛碁)を新商品として作成していますが、資金難のため現在クラウドファンディングで資金を募っています。
期間は1月31日までとなっています。
以下は協会の代表者によるクラウドファンディングの紹介文と、棋士と関係者による応援コメントです。
少し長いですがご一読いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
視覚障害者も打てる携帯型碁盤を作る会代表 岡村晴朗
◆コンパクトになる碁盤で囲碁のバリアフリー化を!◆
「あなたはどんなゲームが好きですか?」と聞かれたら、ほとんどの方がまずは画面を見ながらするゲームを思い浮かべるのではないでしょうか?
これは最近作られたゲームであって、日本には1000年以上も前から楽しまれているゲームがあるんですよ!それが囲碁です。
囲碁は難しいと思われていますが、実はとても簡単です。相手の石を閉じ込めて、石を取ったり取られたり、最後は石で囲った敷地の広さで決まります。とは言え、打つ手は無限とも言われるくらい奥が深いゲームです。だからこそ現代にまで引き継がれてきたのです。
私は、この囲碁を生涯の趣味にしようと思いましたが、覚えてたった3年であきらめざるを得ませんでした。それは黒石が見えにくくなったからです。
その後、30年以上経って、ブラインド囲碁に出会ったのです。本来、目で見てする囲碁ですので、手で触れてするなどとてもできるものではないと思っていましたが、少しずつ打ち方に慣れ、今では、標準の19路盤で打てるまでになりました。
この囲碁は、黒石の中央に凸点が付いているので、黒石と白石の違いがわかりますし、手で触れても石が動かないように工夫されています。
ところがこの碁盤で囲碁を打つとなると、大きな荷物にして持参するしかありません。そこで考え出されたのが持ちやすくした携帯型の碁盤です。
これは、パズルのように4枚のピースを組み合わせれば、19路の碁盤になるというものです。
これを使えば、視覚障害者のみならず、指先が周りの石に触れて石を動かしてしまうのでは...?と心配されている方にも、また、目が見える方はもちろんのこと、聴覚障害の方とも対局を楽しむことができます。まさにユニバーサルデザインの碁盤です。
この碁盤が製品化され、何方とでも囲碁が打てるようになることを心から願ってやみません。
詳しくは、以下のリンク先をご覧ください。
- * 下記の振込先を利用していただければ、
責任をもってクラウドファンディングの手続きをさせていただきます。
≪振込み先≫
ゆうちょ銀行 記号11380 番号 05127041
口座名 視覚障害者も打てる携帯型碁盤を作る会
みずほ銀行 店番号 247(三鷹支店)
口座番号 3023043
口座名 岡村晴朗
なお、振込後、メールまたは電話にてご連絡いただければ助かります。
Eメール:keitaigoban.19@gmail.com
電話:080-1154-3963
視覚障害者も打てる携帯型碁盤を作る会代表 岡村晴朗
社会福祉法人日本点字図書館理事長 田中徹二 「復活した囲碁への想い」
私が囲碁を知ったのは高校生のときでした。興味を持ち始めたころに失明しました。
それ以後は囲碁とはすっかり離れていました。ところが、10年前ぐらいだったでしょうか、触ってできる囲碁盤ができました。これで再び囲碁ができると喜んだものです。
日本点字図書館でもカルチュア講座の一つに取りあげ、日本福祉囲碁協会の指導の下、毎週囲碁教室を開いています。
ところが、使っている囲碁盤は大きく価格が高いのでなかなか普及しません。
今回開発された囲碁盤は、持ち運びに便利な大きさのほか、金型代を支払えば、価格も安くなりそうです。
さらなる視覚障害者に囲碁を普及させるために、この囲碁盤の完成が大いに期待されるところです。
日本棋院東京本院所属 鶴山淳志八段
先日携帯型碁盤の試作品を見せてもらい、また、9路盤を使用して対局する機会をいただきました。
アイマスクをして手触りだけで黒石と白石を判断し、頭の中で想像して対局するのはとても楽しい時間でした。
この碁盤であれば石が動かない利点を活かし、一般の方も揺れる機内や電車内でも対局を楽しむことができるでしょう。
この碁盤を利用して、どんな方でも分け隔てなく、いつでもどこでも気軽に対局ができる日が来ることを切に願っております。
日本棋院東京本院所属 信田成仁六段
この度、視覚障害者も打てる携帯碁盤ができたとのこと、囲碁に携わる者として本当にありがたく感謝いたします。
このことにより、囲碁を通してより多くの友達の輪が広がり、人生を豊かに過ごされる方が増えていかれることは間違いありません。
目の見えない方たちはもちろんのこと、碁盤を4分割にすることにより持ち運びやすく、揺れ動く所でも石が崩れず大変貴重なものができたと嬉しく思います。
多くのご家庭にトランプがあるように一家に一台はこの碁盤がある、そんな時代が来てくれることを祈っています。(夢ではないと思います)
携帯碁盤作成に携わられている皆様の多大な努力が実ることを信じています。
日本棋院東京本院所属 大西研也四段
私が初めてブラインド用の碁盤にふれたのは3年ほど前なのですが、
見えていないのに碁石を触りながら碁盤が頭に入っており、1局打てている様子は目から鱗で今でも鮮明に覚えています。
この碁盤のおかげで、努力しだいでは囲碁も健常者と対等に遊べるゲームになったと思いますので、皆様に触れていただければ、囲碁棋士として嬉しいかぎりです。
関西棋院所属 影山敏之五段
升目の線が盛り上がっていて、碁石の裏に溝があり、升目の線にはめ込む。
碁石は指先で触った感覚から黒白がわかるという視覚障害者用の碁盤は、数十年前からあるのは知っていましたが、この度携帯型碁盤が開発されたとの事で大変うれしく思います。
これで簡単にどこにでも持ち運びが出来て、世界中の誰とでも囲碁が打てれば楽しいですね!
ぜひともこの碁盤が普及されて、囲碁人口が増えますよう心から願ってやみません。
関西棋院棋士 小野綾子初段
ブラインド囲碁大会でこの碁盤と碁石に出会い、様々な素晴らしい工夫に感動しました。
石を碁盤にはめ込むので対局中に石がずれる心配がなく、軽い素材なので旅行のお供にも最適です。石を「カチッ」とはめ込む時の感触がとても気持ちいいです♪
囲碁は、年齢や国籍なども関係なく楽しめるゲームですが、この碁盤が普及する事で、さらに沢山の人達が囲碁を楽しめるようになると期待しています。
ヴァイオリニスト 白井崇陽(BIC東京メンバー)
ヴァイオリニストの白井崇陽です。
私が囲碁に出会ったのは3年ほど前、音楽と並行して長く挑戦し続けることのできるなにかを探していたときに声をかけていただけたのがきっかけです。
見えれば、スマホなどで対局や詰碁・記譜並べを暇な時間に勉強をすることができるんだろうなぁとうらやましく思ってしまいます。
せめて持ち運びができる碁盤があれば...。
そんな私たちの夢と希望が詰まった碁盤が今開発されようとしています。
私は学校講演やコンサートでもブラインド囲碁を知ってほしいと体験会や実演を行っていますが、碁盤を持ち運ぶのが困難で実現できないことも多いのです。
この携帯型碁盤が完成すれば、もっと多くの人に触れていただくことができると確信しています。
見える見えないを問わず、時や場所も越えて誰もが自由に楽しむことのできる囲碁。
この携帯用碁盤は、そんな夢の架け橋になってくれるはずです。
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