允許状を手に笑顔の藤沢女流本因坊
第40期女流本因坊戦五番勝負を制し、念願の初防衛を果たした藤沢里菜女流本因坊の就位式が、12月14日に東京都千代田区の「ホテルニューオータニ」で行われた。
日本棋院の小林覚理事長から允許状、共同通信社の三土正司代表取締役社長から賞杯と賞金が贈られた。続いて、お祝いに駆けつけた将棋の里見香奈女流五冠が花束を手渡す豪華なツーショットが実現。互いに刺激を受け合う仲だと明かした。
将棋の里見女流五冠(左)から花束が手渡された。豪華なツーショット
【里見香奈女流五冠祝辞】
藤沢さんと初めてゆっくりお話したのは、週刊碁の対談でご一緒させていただいたときになります。そのときすごく印象的だったのは、盤を離れるとすごく気さくで可愛らしくて。笑顔の多い素敵な方だなと。そこで将棋と囲碁の違いをたくさん知って、学びの多い貴重な時間を過ごさせていただきました。
最近の藤沢さんのご活躍は私にとってすごく刺激的で。今回の初防衛もそうですけど、十段戦のご活躍は私も本当に頑張らないといけないなと思わされる、本当にめざましい活躍でした。これからもどんどん上にいかれる方だと思っておりますので、体調に気をつけられて、ますますご活躍されることを心よりお祈り申し上げます。
【藤沢里菜女流本因坊謝辞】
里見さんの活躍は小さい頃からニュースなどで拝見させていただいて、今でも里見さんがタイトルを取るたびにすごく励みになっています。将棋に対する姿勢など見習うことがたくさんあって、いい刺激になっています。
このたび第40期女流本因坊位を獲得することができ、大変嬉しく思っております。今回の対戦相手、星合志保三段とは昔から仲がよくて。挑戦者決定戦を拝見していて、星合さんが勝ったときにちょっと嬉しいような、おめでとうという気持ちに一瞬なりました。でもよく考えてみたら自分が戦うということで、喜んでいる場合じゃないなと。勢いも実力もある方なので、気を引き締めて対局に臨みました。
第1局の舞台、毎年お世話になっている岩手の佳松園さんは、今回も本当に対局場が素晴らしかったです。おかげで対局はリラックスして臨めたんですが、星合さんが本当に強くて。終始形勢が苦しく、何度も負けを覚悟しました。また第3局もやはり形勢が苦しくて...。なんとか最後逆転することができましたが、これからまた星合さんが挑戦してくるだろうなと感じています。
女流本因坊戦は第33期から出場させていただいていて、今期で8期連続。でも、なかなか防衛することができなくて。挑戦者が勝つというジンクスまで出来てしまいました。今期なんとかジンクスが破れてよかったなと思っています。
今年、世界戦で活躍できなかったのは自分としても心残り。井山先生が農心杯で4連勝されているのを見てとても勇気が出たので、自分も来年は世界戦で活躍できるように日々精進していきたいと思います。
去年行われた週刊碁の対談以降も、メールでのやりとりを行っていたというお二人。式の後は、久々にゆっくりお話を楽しんだとのこと。
就位式の様子は「共同通信きさらぎ会」から、藤沢女流本因坊と里見女流五冠の週刊碁対談(2020年11月30日号)はkindleから見られるので、ぜひ。
昨年行われた週刊碁の対談。勝負に対する思いからストレス発散法まで話題は多岐に及んだ
対談では、互いにルールを教え合う場面も。初めての振り駒に大興奮の藤沢女流本因坊