22年の昇竜は誰か~第47期新人王本戦トーナメント開幕【コラム:品田渓】


 井山裕太棋聖関航太郎天元許家元十段...。長い歴史のある新人王戦は、現タイトルホルダーをはじめ、多くの名棋士を輩出してきた若手の登竜門だ。2022年にその座を射止める昇竜は誰か。1月27日(木)の第47期新人王本戦トーナメント開幕を前に、第45期準優勝者の佐田篤史七段に今期の展望を聞いた。


  • ―― トーナメント表をご覧になって、どんな印象を持たれますか?
  • ●  パッとみて優勝しそうな人が10人以上...。とてもレベルが高いですね。
  • ―― 前期準優勝、上野愛咲美女流棋聖の初戦の相手はマレーシア出身の曽富康(チャンフーカン)ニ段となりました。
  • ●  曽二段は予選で藤沢里菜女流本因坊を破って本戦入りしているんです。そして、今度は初戦で上野さんと...。すごいくじ運ですよね。いいのか悪いのか分かりませんが(笑)。
  • ―― 藤沢女流本因坊を破って、となると上野女流棋聖にとっても強敵ですね。
  • ●  みんな強いので、強敵だらけです。ただ、前々期準優勝者の僕としては、前期準優勝者の上野さんを応援しています(笑)。自分はできなかったので、ぜひ準優勝を越えていってほしい!
  • ―― 上野女流棋聖は昨年11月に広島アルミ杯・若鯉戦で優勝しています。今期も優勝候補筆頭です。
  • ●  若鯉戦といえば、上野さんに決勝で負けた西健伸五段も忘れないでください。同じ関西棋院所属として、ここは外せません。彼はとても研究熱心で、技術は素晴らしいんです。
  • ―― 西五段の優勝もありそうですか?
  • ●  もちろんです。少なくとも技術ではトップに立てる実力があります。唯一の心配はメンタルが少し弱いところなんですけど...。僕は一番応援していますよ(笑)。
  • ―― 他に注目している人はいますか?
  • ●  いやぁ、たくさんいすぎて、絞るのが難しいですね。前期ベスト4の小山空也五段小池芳弘七段姚智騰六段あたりは毎年優勝候補の実力者ですし、中部の大竹優六段も当然優勝候補です。あとは日本棋院2021年勝率ランキング2位の福岡航太朗三段(39勝12敗、勝率.765)、同勝ち星ランキング3位の仲邑菫二段(43勝18敗)からも目が離せません。
  • ―― 大竹六段と福岡三段は初戦で当たるんですね。
  • ●  そうなんです。ここ、ものすごいいいカードですよね。どちらが勝つのか大注目です。
    大竹六段が勝ち上がって決勝ということになると、中部初の新人王が誕生するかもしれないので、その意味でも注目です。
  • ―― 意外にも中部総本部から新人王が誕生したことがないのですね。
  • ●  羽根直樹九段伊田篤史八段志田達哉八段六浦雄太七段...。多くの名将を擁しているのに誰も取っていないというのは不思議ですよね。
  • ―― 今期はとても女性棋士が多いのも一つの特徴です。
  • ●  本当ですね。8人...、約4分の1が女性なんですね。しかも強い。上野女流棋聖は当然として、牛栄子四段加藤千笑二段、仲邑二段あたりはベスト4に入ったとしてもまったく驚きません。
  • ―― 今、ベスト4というお話がでました。今期のベスト4を予想していただけますか?
  • ●  うーん。まず、西五段は関西棋院の者として絶対に外せません(笑)。それから、前期準優勝の上野女流棋聖。あとは、大竹六段と福岡三段のどちらが勝つかですよね...。究極の選択ですが、大竹六段とは個人的に仲がいいので、応援の気持ちを込めて大竹六段と予想しておきます(笑)。
  • ―― あと1人はどうでしょう。
  • ●  そうですね...。実はすごく注目している人がいるんです。
  • ―― どなたでしょうか。
  • ●  酒井佑規三段です。酒井三段はとても読みが強くて、戦ったらナンバー1かもしれません。ただ、昔はかわされると力が発揮できないという弱点があったんです。ところが、最近はAIを使った研究が成果を上げているようで、その弱点が無くなってきたらしいんですよね。今期、かなり勝ち上がってくる予感がします。
  • ―― では、佐田七段のベスト4予想は、西五段、上野女流棋聖、大竹六段、酒井三段ということですね。
  • ●  はい。それでいきましょう(笑)!

 開幕戦は1月27日(木)、小山空也五段 VS 青木裕孝二段

記・品田渓


1月27日(木)、第47期新人王本戦トーナメントが開幕する。(上段右・小山空也五段、上段中、仲邑菫二段、上段左、西健伸五段、下段右、福岡航太朗三段、下段中、上野愛咲美女流棋聖、下段左、酒井佑規三段)


第45期の準優勝者、佐田篤史七段