勝てば喜び2倍!!ペア碁の魅力再認識~プロ棋士ペア碁選手権2021決勝【コラム:品田渓】


 2月13日、プロ棋士ペア碁選手権2021の決勝戦、牛栄子四段井山裕太五冠VS知念かおり六段一力遼九段が行われた。
 男女でペアを組み交互に打つ「ペア碁」は普段の対局とは趣が違う。どこか空気がやわらかく、楽しげになるのだ。孤独に戦っているのとは違い、仲間がいる。勝った時は一体感があってより嬉しいし、負けた時も一緒に責任を背負ってくれる人がいるからつらさが半減する。ペア碁は「勝てば喜び2倍、負けても悔しさ2分1」と言われるゆえんだ。

 井山と一力は、日本最高峰のタイトル、棋聖位を争っている真っ最中だ。2人の対局は極限まで張りつめた空気で覆われ、周囲の人はおいそれと近づけない。けれど、今回の決勝戦にはペア碁ならではの解放感があって、大盤解説会に集まった人々も対局者と一緒に盛り上がった。
 優勝は知念・一力ペア。二転三転した大乱闘を黒番中押し勝ちした。「難しい碁を、息を合わせて打てました。1人で打つのと2人で打つのは違います。1人だとどうしても結果を求めてしまい苦しいこともありますが、今回は楽しく打てました」と一力。終局後は両ペアとも大盤解説の壇上に上がって挨拶し、なごやかでリラックスした雰囲気の中で閉幕した。

 記者は、今まさに頂上決戦を行っている井山、一力の両氏がペア碁を楽しそうに打っているのを見て、その魅力を再認識した。真剣勝負の中にも思いやりと優雅さを。普段の対局とは違うペア碁ならではの見どころがある。
 3月17日から21日にかけて、ペア碁ワールドカップ2022ジャパン(http://www.pairgo.or.jp/pgwc/2022/)が開催される予定だ。アマチュアのペア碁大会はコロナ禍で残念ながら開催されていないが、感染状況が収まった暁にはいちペア碁ファンとしてぜひ参加したい。近い将来、観るペア碁、打つペア碁、両方ともが自由に楽しめる日が来ることを願ってやまない。

記・品田渓


優勝した知念かおり六段・一力遼九段ペア。