昨年、全日本の囲碁ファンが歓喜に沸いたSENKO CUPが今年も開催される。3月3日(金)から3月5日(日)の3日間、東京都江東区のホテル櫂会「あけくれ」で行われる世界一を決める戦いは3大会ぶりの対面対局だ。日本からは昨年の覇者、上野愛咲美女流立葵杯の他、牛栄子扇興杯、藤沢里菜女流本因坊、仲邑菫女流棋聖の4人が出場。韓国代表の崔精九段、中国代表の周泓余六段、中華台北代表の盧鈺樺四段、主催者推薦選手のクヤンアン・ハさん(「世界女流アマ最強戦」2年連続優勝のベトナム代表)を加えた8人でトーナメント戦を行う。今年は優勝賞金が500万円から1000万円に倍増。ますます熱くなるSENKO CUPの見どころを上野女流立葵杯の兄弟子、本木克弥八段に聞いた。
- ---- 昨年のSENKO CUPでは上野女流立葵杯が日本勢初の女子世界戦優勝という快挙を成し遂げました。
- 本木)決勝戦の碁はハンマーの異名通りのすごい碁でしたね。1回戦で3連覇中だった中国の於之瑩七段を破ったのも本当に感動しました。
- ---- 上野女流立葵杯は今年も出場します。本木八段は出場メンバーを見て、どんな印象を持たれますか?
- 本木)やはり、上野さんには2連覇を狙ってほしいですし、可能性は十分あると思います。上野さん以外の日本勢もとても強い。ベストメンバーがそろっていると思います。僕が一番注目しているのは崔精九段を誰が止めるのかというところです。崔九段は111カ月連続で韓国の女性棋士ランキング1位を獲得している世界のナンバー1。昨年は一般の国際戦で準優勝するなど、その実力は男性も含めた中でも世界トップクラスです。優勝するためには崔九段を破らなければいけないので、それを誰がするのか、果たしてできるのか、というところが非常に楽しみです。
- ---- 崔九段の実績は群を抜いています。日本勢に勝ち目はあるのでしょうか。
- 本木)たしかに、僕も含めて日本の男性でも崔九段に勝てる人は相当少ないと思います。でも、昨年は謝依旻七段が破っていますし、上野さんも崔九段との対戦成績は2勝2敗なんです。崔九段と打ち分けている人なんてなかなかいないですよ。
- ---- さすが、世界のハンマーですね!今回は久々の対面対局です。上野女流立葵杯に抱負を伺ったら、「崔精先生のオーラに負けないように頑張ります」とおっしゃっていました。
- 本木)上野さんらしいですね(笑)。ネット対局と対面とでは雰囲気が全然違うので、その意味でも楽しみです。
- ---- どんな戦いになるか、ますます期待に胸が膨らみます!今回、中国代表は於七段から周六段になりましたが・・・。
- 本木)周六段は昨年の湖盤杯(勝ち抜き団体戦)で上野さんの連勝を止めた方です。非常に強くてもちろん大変な相手ですが、昨年の呉清源杯では上野さんが勝っていますし、いい勝負なのではないかと思います。
- ---- 牛扇興杯、藤沢女流本因坊、仲邑女流棋聖についてはいかがですか?
- 本木)全員がタイトル保持者のベストメンバーです。牛さん、仲邑さんは勢いがありますし、藤沢さんは安定感抜群の第一人者です。全員に優勝のチャンスがありますし、日本勢同士の決勝もあり得ると思っています。
- ---- 仲邑女流棋聖は3月2日が誕生日で14歳になります。
- 本木)若い・・・。13歳で初タイトル、14歳で世界戦制覇なんていうことになったら本当にとんでもないことですが、実際にあり得るかもしれないと思わせるのが仲邑さんのすごいところです。昨年のSENKO CUPを経て、今回はどんなドラマが生まれるのか、とても楽しみです。
- ---- 本木八段ありがとうございました。
記・品田渓
世界のハンマー・上野愛咲美女流立葵杯
見どころを語る本木克弥八段