10月28日(土)、29日(日)に迫った第6回SGW杯中庸戦本戦に向けて、前回覇者の五代中庸・鶴山淳志八段に見どころを伺うと同時に出場棋士紹介を行っています。前編では本戦出場者、小県真樹九段、三村智保九段、大垣雄作九段、溝上知親九段、蘇耀国九段、張豊猷九段、林子淵八段、松本武久八段、志田達哉八段、謝依旻七段、村松大樹七段、安達利昌七段、寺山怜六段、伊藤優詩五段、奥田あや四段、吉川一四段のうち、張九段までをご紹介しました。後編では林八段から吉川四段までをご紹介します。
(鶴山淳志八段=鶴、ライター品田渓=品)
- 品) 鶴山中庸、後編もよろしくお願いいたします。
- 鶴) 任せてください。次は林八段ですね。
- 品) はい。
- 鶴) 子淵君は初代中庸林漢傑八段の兄弟子で笑いの師匠と聞いています。初代は自分がスベッているのを子淵君のせいにしようとしていましたが、私の知る限り、子淵君の冗談はあんなにスベッていません(笑)。優しい人柄で、子供教室の子供たちに大人気と聞いたことがあります。
- 品) 松本武久八段
- 鶴) 3期連続本戦出場の実力者です。松本八段はすごい豪腕なのですが、人柄は本当に癒し系なんですね。前回、初代が紹介で「まっちゃん(=松本八段)は盤に向かうとカピバラからライオンになる」と言っていましたが、その通りだと思います(笑)。
- 品) 志田達哉八段
- 鶴) 本戦出場棋士に豪腕タイプの方が多い気がしますが、志田八段ははっきりとした実利派です。そして僕は勝手に「世界一禅寺が似合う修行棋士」だと思っています。
- 品) なぜ修行棋士なのですか。
- 鶴) 打っている時の没頭ぶりが「このまま悟ろうとしてるんじゃないのかな」というくらいすごいからです。「勝ちたい」よりも「碁の真理を究めたい」という雰囲気があって、それが悟りを目指して坐禅を組んでいるお坊さんみたいだと僕は思っています。
- 品) 謝依旻七段
- 鶴) 志田八段とは真逆で、「絶対勝つ」という勝負師の気迫がすごいです。元々は豪腕タイプで、今ももちろん力は強いですが、最近はバランス感覚も磨かれて、より円熟した棋風になっていると思います。
- 品) 村松大樹七段
- 鶴) 静かな闘志を感じる方です。関西の強豪で、昨年は3位に入賞しています。今年の5月には七段に昇段されて、充実されている印象です。
- 品) 安達利昌七段
- 鶴) ちまたで「安達解説員」と呼ばれるだけあって、頭脳明晰で知識が豊富。最近では棋聖Bリーグを抜けて挑戦者決定トーナメントに進出しました。安定して強い若手中庸です。
- 品) 若手中庸ですか。
- 鶴) 中庸戦の中にも30代、40代、50代といるわけですが、私は勝手に30代を若手中庸と呼んでいます。若手中庸は40、50代にとって怖い存在なんですね。毎年元気な若手中庸が入るたびに「えっ、もう君が中庸なの!?早いよー」とボヤキたくなるんです。
- 品) わかるような気がします(笑)。寺山怜六段も若手中庸ですね。
- 鶴) 寺山六段は昨年中庸入りしたばかり。バリバリの若手中庸です。ですが、彼の落ちつき、安心感は「中庸」そのもの。この棋戦は体力や技術以上に中庸の精神が問われる棋戦だからか40、50代が他棋戦より強いと思うんですね。ところが寺山六段は若くて体力がある上に中庸の精神まである。期待のルーキーです。
- 品) 伊藤優詩五段
- 鶴) 予選で鈴木歩七段を破っての本戦入り。寺山六段に感じた中庸の精神を伊藤五段にも感じます。余談ですが、伊藤五段と同年代で同じ北海道出身の鈴木伸二八段と富士田明彦七段も若手中庸として予選に出場しましたが抜けられませんでした。こうして本戦入りした若手中庸の面々を見ると、ウニ君(=鈴木八段)や富士田君にはまだ少し中庸の精神が足りていないのかもしれませんね(笑)。
- 品) 奥田あや四段
- 鶴) 一昨年の準優勝者。そして、つい先日、河野臨九段との婚約を発表されて幸せいっぱいです!!幸せは人を強くします。元々実績十分な実力者ですが、婚約パワーでさらに強くなっているのではないでしょうか。
- 品) 吉川一四段
- 鶴) 大阪囲碁道場の熱き師範です。若手中庸ではありますが、早くから後進の指導にあたってすでに人として円熟しているので本棋戦で実力を発揮してくる予感がします。
- 品) ありがとうございました。続いて「五代中庸・鶴山淳志八段の中庸戦徹底解説2023(3)―六代中庸を大予想」で恒例の優勝予想をお願いします。
記・品田渓