10月29日、30日に行われた第6回SGW杯中庸戦本戦。4戦全勝で優勝し、六代中庸に輝いたのは志田達哉八段でした!
今回は完結編。見どころ&出場棋士紹介、優勝棋士予想を行った五代中庸・鶴山淳志八段にさっそく2日間の熱戦を振り返っていただきましょう。
本戦出場棋士
上位入賞者
優勝・志田達哉八段
2位・溝上知親九段
3位・小県真樹九段
3位・安達利昌七段
(鶴山淳志八段=鶴、ライター品田渓=品)
- 品) 志田中庸誕生となりましたね!
- 鶴) いやー、強かった。大会を通じて志田君の真骨頂を見た思いです。
- 品) 安達七段との優勝者決定戦では最終盤まで互角の形勢で、繊細なヨセ勝負が繰り広げられました。
- 鶴) 細かい碁を正確なヨセで僅かに残すのが志田君の持ち味です。そして、今回、全局でそういう碁を打っていたんですよね。ブレずに自分の碁を貫いての優勝。見事としか言いようがありません。
- 品) 見事と言えば、志田八段を本命にあげた鶴先生の眼力も素晴らしかったですね。
- 鶴) そうなんです。はからずもワタクシの予想家としての才能が世に出てしまいました(笑)。ついでに申し上げますと、2連勝で2日目に優勝の可能性を残していたメンバーには対抗にあげた寺山六段も残っていました。1日目終了時点で予想にあげたお二人が残っていたのは自信になりましたね。
- 品) 小県九段も1日目を2連勝し、2日目に優勝の可能性を残していました。
- 鶴) 3局目で志田君に敗れたものの3勝1敗で3位入賞。実は小県先生、中庸戦が始まる前に通算勝ち星が996勝で、節目の1000勝まであと4勝に迫っていたんです。中庸戦で4戦全勝して優勝決定戦を1000勝で飾るという可能性もあったんですね。同じ中部の若手中庸(志田八段)に阻まれてしまいましたが、先生の戦いぶりは素晴らしくて、胸が熱くなりました。
- 品) 初代中庸林漢傑八段が本命にあげた安達七段は優勝決定戦まで進みましたが、スイス方式のためポイントで小県九段と同率3位になりました。
- 鶴) そして2位がみぞ先生(溝上九段)ですね。仮に道中で1敗しても、最後まで上位入賞が狙えるのがリーグ戦の醍醐味でもあります。ただ、安達君が優勝できなかったことについては、ちょっと責任を感じていて・・・。真剣に考えないといけないなと思っているところです。
- 品) と言いますと?
- 鶴) 今回僕は予想の精度をあげるために初代を「世界一当たらない予想家」として呼び寄せて、予想をさせました。そして、もともとは安達君が本命だと思っていたところを、初代が安達君を本命だというのであえて予想から外すことにしました。
- 品) はい、そうでした。
- 鶴) これは、由々しき問題です。ひょっとしたら初代は単なる当たらない予想家ではなくて、彼が名前をあげると優勝できない、「漢傑の呪い」なのかもしれないのです。
- 品) 呪い!!怖いですね。
- 鶴) 実は小林覚九段も吉原由香里六段も安達君が本命と言っていました。最近の調子や安定感、早碁への適性、いろいろ総合すると確かに安達君が頭一つ抜けていると思う人が多かったと思うんです。
- 品) それほど本命視されていた方が優勝できないとなると、呪いの可能性は否定できませんね・・・。
- 鶴) それだけではありません。昨年初代が予想にあげた人を覚えていますか?
- 品) たしか、本命・志田八段、対抗・松本八段、オススメ・溝上九段でした。
- 鶴) そして今回、優勝は志田君、2位がみぞ先生。どうです?
- 品) こ、怖いです。昨年の呪いが解けたようにしか見えなくなってきました。
- 鶴) 幸い、僕の予想は呪いにならないことが今回証明されました。なので、来年は一人で予想しようと思います。ただ、「漢傑の呪い」を検証したい気持ちもあるので、まず、初代には予想を誰にも見られないように書いてもらって、それを封筒に入れて、万が一にも外に漏れないようにしっかり糊を付けて封をしてもらいます。
- 品) その予想は結果が出揃ってから開封するのでしょうか。
- 鶴) そうです。
- 品) 封じ手みたいですね(笑)。
- 鶴) 今回、安達君に声をかけたら「漢傑先生に予想されちゃったからな(笑)」と言っていたんです。冗談めかしていましたが、目は笑っていなかったような気がしました。「当たらない予想家」は面白いですが、人様に迷惑をかけてはいけません。
- 品) では、来年の予想は、表に出すのは鶴先生お一人で漢傑先生のは封印ということで・・・。開封のタイミングは優勝決定戦の大盤解説会ですか?
- 鶴) 来年の大盤解説は通例であれば志田君なんですよ。志田君、開封してくれるかなぁ。
- 品) それは!!志田八段の大盤解説ってものすごくレアですよね。
- 鶴) レアもレア。初めてでしょうね。なにしろ、今回の優勝インタビューで話している姿でさえ、「志田君が話した!」「志田君が笑った!」と話題になるくらいですから。
- 品) 来年はドキドキがいっぱいですね。初代の予想開封、志田八段、初めての大盤解説。今回「呪い」にかけられたかもしれない安達七段が今後どうなるのか・・・。最後に鶴先生、一言お願いします。
- 鶴) 志田君、優勝本当におめでとう。大盤解説、楽しみにしていますね!選手の皆様、本当にお疲れ様でした。そして何より、応援してくださったファンの皆様、大盤解説会にお越しいただいた皆様、セントグランデWの嶋屋様はじめ関係者の皆様、ありがとうございました。ますます熱くなる中庸戦、次はどんなドラマが生まれるのでしょうか。また来年もお会いしましょう!!
記・品田渓
六代中庸志田達哉八段と五代中庸鶴山淳志八段。
志田八段、安達七段との優勝決定戦を「らしい」碁で制す。
解説会場で碁を振り返る安達七段。
大盤解説会の最後にプレゼント企画でじゃんけんをする志田八段