トップ棋士への登竜門、第49期新人王戦は2人の俊英、三浦太郎三段と藤井浩貴三段の決勝三番勝負となりました。結果は第1局(9月24日)、第2局(10月1日)と三浦三段が連勝し初戴冠。連綿と続く歴史の1ページに第49期新人王としてその名を刻みました。
ところで、三浦三段がその名を刻んだのは歴史の1ページだけではありませんでした。つる&りんの胸にも対戦相手の藤井三段の名と共に刻まれたらしいのです。「今回の新人王戦で2人のファンになった」とつる&りん。なぜ箱推しするに至ったのか、その経緯をのぞいてみましょう。
つる = 鶴山淳志八段
りん = 林漢傑八段
- りん つるさん、見た?(三浦)太郎ちゃんと藤井くんの新人王戦第2局。
- つる 見たよ。あれはつらい。白番の藤井くんの半目勝ちが確実だったところを、うっかりミスで最後の最後で逆転半目負け。藤井くん、気付いた瞬間にビクッてして、ガクッてうなだれてたもんね。藤井くんの気持ちを思うと涙が止まらなかったよ。
- りん うん、そうだね。そうだけど、涙が止まらないはウソだよね?私は泣いたけど、つるさんみたいにドライな人が泣くわけないよね。
- つる ・・・いや、泣いたよ(心の中で)。
- りん 本当に?
- つる うん、ほんとほんと。それはともかくとしてさ、藤井くんにとっては悲劇だったけど、観ている側にとっては2人のステキさが伝わるとてもいいシリーズだったよね。藤井くんのビクッ、ガクッからの気丈なインタビューも良かったし、太郎ちゃんの相手を思いやる優しさにも心打たれたな。もともと太郎ちゃん推しだったけど、さらにファンになった。
- りん わかる。藤井くんがありえないミスをした後、太郎ちゃん、一瞬とがめるのをためらうんだよね。その後のインタビューでも藤井くんを気遣ってコメントしているのが伝わって、本当に人柄がいいんだな、って思った。
- つる 藤井くんも藤井くんでショックを受けてるけど、局後のインタビューではユーモア全開で悲愴感を漂わせずに受け答えしていたのは立派だった。私は正直、藤井くんみたいなポカはしたことがないから分からないけど、普通はなかなかあんな風にできないよね?
- りん できないよ!っていうか、つるさんああいうポカしたことないの?
- つる ない。思うに、ああいうすごいポカができる人って天才なんだよ。普通の人は気付いちゃうもん。りんはあるの?
- りん ある。まず、棋士人生で2回反則負けをしたことがあるけど、最初の反則負けは新人王戦だった。アタリを見逃して取られたこともあった。
- つる やっぱり、りんは天才なんだな(笑)。実際、ポカって師匠(趙治勲名誉名人)とか、志田(達哉八段)君とか、集中力がすごすぎる人がやりがちなイメージ。
- りん やっちゃうのはわかるけどね。ただ、決勝三番勝負の舞台でっていうのは・・・。半端ないつらさだろうけど、それをすぐに笑いに変えられる藤井くんはやっぱりいろいろな意味で天才。
- つる インタビューで記者の人に「ポカに気付いたとき、叫び出しそうに思いましたが」っていわれて「今ここで叫んで騒いだら汚名に汚名を重ねることになるので我慢しました」って言ってたけど、逆に名声を高めたね。
- りん 「ここまできたらむしろイジってほしい」って言ってたしね。我々も語り継いでいこう。
- つる そうだね。それに、この新人王戦で2人の将来がさらに楽しみになった。碁の内容もすごくハイレベルで、これから活躍するのは間違いないと思ったし、人柄も素敵だし。全然違うタイプだからこそ、2人セットでこれからどうなっていくのか、ウォッチしていきたいと思ったな。
- りん よし、それじゃあ、今回のつるりん会議をもって、三浦藤井ファンクラブ結成ということで。我々で2人の活躍を見守っていこう!
記・品田渓