祝!!第7代中庸・秋山次郎九段 ~りんの大逆襲「つるりん式観る碁のすすめ」


 熱きミドルエイジたちの戦い、第7回SGW杯中庸戦が11月2、3日に行われました。強豪ひしめく激戦を制したのは秋山次郎九段(46)。安斎伸彰八段(39)との優勝者決定戦で力強い攻めの碁で白番中押し勝ちをおさめ、栄冠を勝ち取りました。「毎年(優勝を)狙っていたけれど、(優勝してみると)信じられない気持ち。(中庸戦を)卒業するのは寂しいが、優勝はとても嬉しい」と秋山九段。2013年の天元戦挑戦者であり、2児の父親であり、森智咲二段重川明司初段の師匠。まさに働くミドルエイジど真ん中の素晴らしい新中庸が誕生しました!




 さて、本棋戦のレクチャーと事前予想をしたつること鶴山淳志八段はこの結果をどのように見ているのでしょう。つるが待っているはずの部屋の扉をそっと開けてみると・・・

本戦結果

 優勝・秋山九段、準優勝・松本八段、3位・安斎八段、4位・中小野田九段、5位・寺山六段、6位・大場八段、7位・金九段、8位・富士田七段


つる = 鶴山淳志八段
りん林漢傑八段
しな = 品田渓(ライター)

(部屋の真ん中にりん)

  • しな あれ?つる先生はまだですか?
  • りん 彼は少し遅れるそうですよ。そんなことより、観ましたか?観ましたよね?
  • しな えっと、観たというのは・・・
  • りん 志田達哉6代中庸吉原由香里六段による優勝者決定戦の大盤解説会、その中で私の予想が発表されましたね?
  • しな はい。由香里先生が「封じ予想」を開封なさいました。
  • りん 何て書いてありましたか?
  • しな 本命・安斎伸彰八段、対抗・寺山怜六段、オススメ・秋山次郎九段とありました。
  • りん そして、優勝者決定戦は誰対誰でしたか?
  • しな 秋山九段と安斎八段でした。
  • りん もう1つ聞きましょう。鶴山とかいう人が予想したのはどなたでしたか?
  • しな 富士田七段、金九段、寺山六段です。全員、2回戦までに黒星が付きました。
  • りん 誰だ!私のことをさんざん「世界一当たらない予想家」とかイジってきたのは!!
  • つる (扉を開けて)こんちはー。
  • しな あ、ちょうどいらっしゃいました(笑)。
  • りん 鶴山くん、何か言うことがあるんじゃないかね?
  • つる (姿勢を正し直角に頭を下げて)申し訳ありませんでした。
  • りん よろしい(笑)。
  • つる やっぱり封じたのがよかったんだね。
  • りん いやいやいやいやいや、実力ですよ。
  • しな でも、確かに今回のりん先生の予想はドンピシャでした。なぜ分かったんですか?
  • りん まず言いたいのは、鶴山くんはデータ分析が足りていない。ちゃんと直近の調子や中庸戦との相性を考えないと。
  • つる なんか語るなぁ(笑)。
  • りん 秋山先生は第1回、第3回、第5回と来て4回目の本戦出場。場数が違うし、直近で依田紀基九段上野愛咲美五段に勝っていて今年の成績がすごくいいんだよ。安斎くんは私の優勝者決定戦の相手で、つるの優勝者決定戦の相手。つる&りんがいなくなった今、安斎くんを阻むものはないはず。あるとすれば秋山先生が勢いに乗った時くらいかなと思ったよね。
  • つる ・・・後付けだよね。
  • りん いや、私はここまで考えてましたよ。つるさんは目先のイケてる感に惑わされすぎ。もっと総合的に、棋戦との相性も考えて予想しないとダメなのよ。
  • つる 反省します。反省しますが、私のはただちょっと調子が悪かっただけです。りんのは残念ながら「呪い」だとはっきりしてしまいました。
  • りん いやいやいやいや、真の実力を発揮しただけです。
  • しな 来年はどうしましょうか。
  • つる 今回と同様にりんのを封じて私が予想するのがいいでしょうね。私は前回当てて今回外した並の予想家ですが、りんはひょっとしたら予想が世に出ると予想された人が実力を発揮できなくなる「呪い」を発動させているかもしれないから。
  • りん だから、真の実力を発揮しただけですって。
  • しな ・・・もう一度だけ、もう一度だけりん先生のを封じさせてください。
  • りん え?品田さんまで?
  • しな でも、次もし的中させたら本当に真の実力が目覚めたのかもしれないし・・・
  • つる 当たらなかったら、ただたまに予想を的中させる普通の人っていうことになるね。
  • りん いいでしょう。ただし、条件があります。次、もし私が当ててつるさんが外したら、次次回はつるさんの予想を封じてください。
  • つる 受けて立ちましょう!
  • しな では話がまとまったところで、つる先生、第7回中庸戦のまとめをお願いします。
  • つる 優勝者決定戦は秋山先生の名局だったと思います。安斎くんも戦いの名手だけれど、力強さで圧倒して白番中押し勝ち。本当におめでとうございます。他にも各ラウンドで面白い名勝負がたくさんあって、個人的にも楽しませていただきました。
    あと、志田くんの大盤解説会、日本棋院ユーチューブチャンネルで観られるので当日会場に行けなかった方もぜひご覧ください。志田くんの人生初解説、かなり面白いです。品田さんは生で見たんですよね?
  • しな はい。志田八段はとても真面目に吉原先生の質問に答えているのですが、何か独特ですれ違いコントのような面白さがありました。あと、今回は中庸戦本戦出場者の書籍10冊ほどと秋山新中庸の記念扇子が会場にいらしたファンの方にプレゼントされました。秋山九段とのジャンケン対決に勝った方にプレゼントされることになったのですが、秋山九段のジャンケンが強すぎて全員負かしてしまい、何度もジャンケンをやり直すことになったりして、それも大変盛り上がりました。
  • つる さすが秋山先生、勝負強い(笑)。第7回中庸戦は秋山新中庸の誕生で幕を閉じました。第8代中庸の座に付くのは誰なのか、私とりん、どちらが予想を的中させるのか。来年もぜひ一緒に楽しみましょう!!
記・品田渓


惜しくも敗れた安斎八段。「優勝決定戦は3回目。我ながら勝負弱い。悔しいです」


今年は参加者に中庸戦出場メンバーの書籍がプレゼント


中庸戦出場メンバーで記念撮影