昨今話題の囲碁マンガ『伍と碁』、みなさまは読んでいますか?つる(鶴山淳志八段)&りん(林漢傑八段)およびライター品田は思いました「これは!おもしろい!!」。天才が囲碁の天才たちによって挫折を知り、とあるきっかけで再び立ち上がる青春囲碁バトルマンガ。伝説的囲碁マンガ『ヒカルの碁』以来の週刊連載とあって自然と胸が高まります。
ということで、今回はつる&りんの『伍と碁』談議。色んな種類の天才が躍動する『伍と碁』の魅力を語り合います!

©蓮尾トウト・仲里はるな/講談社
つる = 鶴山淳志八段
りん = 林漢傑八段
- りん つるさんに聞きたいと思ってたんだけど、自分は天才だなって思ってる?
- つる 思ってないし、思ったこともない。
- りん 本当に?
- つる 熊本は強い人多いんだよ。そりゃあ「オレ、けっこう強い」くらいには思ってたけど、無双なんてさせてもらえないもん。りんは天才だと思ってたの?
- りん 思ってた。だから主人公の秋山恒星くんの気持ちがわかる。
- つる 恒星くんはスポーツも勉強もどんなこともできちゃう自他共に認める天才だけど、「オレは10代で伝説を残したい」って飛び込んだ囲碁教室ではじめて挫折を知る。漢傑くんも自他共に認める天才ボーイだった(笑)?
- りん だったね、6歳の時は。囲碁を始めてまだ1年も経ってないくらいの時に台湾の大会で優勝候補だった小2のお兄さんを倒して優勝したのよ。その時が私のピーク。日本に来たら張栩(九段)さんとか、すごい才能の人がゴロゴロいてすぐに「あっ、自分天才じゃなかった」って気づいた。
- つる もしりんが恒星くんみたいに囲碁覚えたてで林海峯九段門下に入ってたらプロになってなかったかもね。
- りん それよ!マンガの中で一番印象に残ってるのが偶然テレビで自分が囲碁で負け続けた5人がすごい5人だったって知るシーンなんだよね。「才能ゼロじゃなかったかもしれない」って気づいて「挑戦したい」って思う。熱い!!
- つる わかる。「ここからスタートだ」って感じがするよね。でもさ、思うんだけど、1000局連続で負け続けられる時点で恒星くんは超すごい才能の持ち主だよ。凡人は10連敗くらいで心がポキポキになるから。
- りん そうそう、これ読んで思い出したんだけど、中国の陳耀燁九段はAIに2000連敗して世界チャンピオンになったんだよ。
- つる す、すごい。リアル恒星だ。
- りん だからさ、負けるってすごいんだよね。そう思うとどんな連敗でも乗り越えられそう。
- つる 負けといえば、恒星くんにはじめて勝利の味を教えてあげた白山小金くんも天才じゃない(笑)?
- りん 院生Dクラスの一番下で親にやめさせられた後、町内会で勝ちまくって自己肯定感を上げているあの白山くんが?
- つる 自分を信じる天才でしょ(笑)。まあ、正直我々棋士はほとんど白山くんマインドがあるよね。弱いって結果でわかっても、上手い手を見つけちゃったりすると「自分天才かも」って思って囲碁をやめられない。
- りん ああ、それはあるかも。天才といえばあの囲碁教室のお姉さんも天才だよ。私はあんなにカッコよく置石を置く人をはじめて見た。
- つる 「私が4子置く」ってやつね(笑)。『ヒカルの碁』の塔矢アキラの名セリフ「ここで僕が投了」みたいに流行りそう(笑)。
- りん 今我々が話してる時点で3話まで出てるわけだけど、すでに話が尽きないね。しかも5人の天才とバトルしていくこれからが本番。
- つる 4話目で5人の中の1人、市原葉月ちゃんとバトルするんだよね。って僕は葉月ちゃんの天才ぶりが憎いよ。なにあれ、SNSの総フォロワー385万人?
- りん 合わせて1万5千人フォロワーの我々としてはねぇ(笑)。
- つる 異世界転生して今の碁界に降臨して欲しい(笑)。
- りん それこそ「クソ雑魚」って言われちゃうよ(笑)。
- つる 仕方ない。本当のことだから(笑)。
- りん これから戦っていく5人で出てきたのは葉月ちゃんと最年少で十段に挑戦してた榎本翠くん。他の3人はどういう3人なんだろう。
- つる 楽しみだよね。きっとただ強いだけじゃない、何かの天才なんだろうな。真面目な話、才能っていろいろな形があるし、開花するタイミングもそれぞれ。思ってもみない天才が出てきそう。そういえば、りんも最近歌の才能が開花してるらしいし。巷では歌手になるとかいうウワサもあるし。
- りん そうなのよ。そろそろ本格的に歌手デビューしようかな、ってオーイ!するわけないでしょうがっ!なんでやねん。
- つる てっきり棋士と歌手の二刀流を目指すのかと。
- りん んなわけあるかーい!私はアットホームなカラオケ会でワイワイする専門なんですっ。
- つる そうかそうか(笑)。ま、それは置いておいて、今後恒星くんがどう成長していくのか楽しみだね。
- りん 「はじめから特別」かと思いきや「全然特別じゃなかった」ってところからスタートなのがおもしろいし共感する。どういう天才とどういう戦いをするのか全然予想がつかなくてワクワクするね!
記・品田渓