井山裕太王座に一力遼八段が挑戦する第65期王座戦挑戦手合五番勝負(主催・日本経済新聞社)の第3局が11月20日(月)に兵庫県神戸市の「ホテルオークラ神戸」で行われた。
対局は10時から開始し、一力の先番。持ち時間は各3時間、残り5分前から1分の秒読みとなる。
18日(土)の第2局に引き続き中1日置いて行われた本局だったが、またも濃密な内容の大熱戦となった。17時57分終局、174手完、井山の白番中押し勝ちで3連勝となり防衛を果たした。持ち時間各3時間の残り時間は黒番の一力が1分、白番の井山が2分だった。これで井山は3連覇、通算5期目の王座の獲得。一力は本シリーズ初白星を得られず敗退が決まった。
井山は10月17日に挑戦手合である七大タイトルの2度目の独占を果たしたが、この七冠(棋聖・名人・本因坊・王座・天元・碁聖・十段)を堅持した。
また、井山は今年のはじめから順に、棋聖戦・NHK杯・十段戦・本因坊戦・碁聖戦・名人戦・王座戦に勝利し、年間7棋戦での優勝を飾ったことになる。この記録は昭和39年の坂田栄男九段(二十三世本因坊坂田栄寿)、平成25年と27年に井山自身が達成しており、最多タイ記録。現在同時進行中の天元戦に新記録がかかっている。
井山の通算獲得タイトル数は「47」となり、故・加藤正夫名誉王座と並び史上5位タイとなった。
詳細は、主催の日本経済新聞社の報道と観戦記、王座戦特設サイト、週刊碁や月刊碁ワールドの記事にてお楽しみください。
両対局者のコメント
井山王座「序盤最初の戦いはまずまずと思っていましたが、黒47に切られた手が非常に厳しくて実戦だとよく形勢が判断できず、その後も良くわからなかった。白160のアテコミが利く形になって162にカカえた時にいけそうかなと思いました。(シリーズを振り返って)どの碁も紙一重ですが2局目ははっきり負けの碁だったので、非常に運が良かったと思います。今のベストは尽くせたと思うのでそれが良かったのだと思います」
一力挑戦者「序盤ちょっと打ちづらくしたかなとは思ってまして、黒67から切ってコウにしたが(白76、78に)出られて形勢は大変かなと思ってましたが、他の打ち方がわからなかった。一応、地を取って勝負のつもりだったが、(白88の)カケから実戦のシボられ方はダメそうです。難しくなる図もあったかもしれませんが基本は苦しそう。黒137の切りははっきりダメでしたが既に大変な形勢だったので...。(シリーズを振り返って)精一杯打った結果なのでしょうがないですけど、2局目の碁を勝てないようでは...」
第65期王座戦挑戦手合五番勝負・第3局
白:井山裕太王座 黒:一力遼八段 白番中押し勝ち
(「幽玄の間」解説、石田篤司九段)
王座戦挑戦手合五番勝負は、日本棋院ネット対局「幽玄の間」でライブ中継いたしました。