新人編集サイトウ
急な異動で周囲の囲碁会話が呪文に聞こえる日々を過ごす、週刊碁歴ぼちぼち半年のアラフォー。棋力は10級。アニメとワインで現実逃避中。正月は「ワイン飲んでました」。今年の目標は「当然、初段になること!何の初段かは言いませんけど!」
先輩編集ホリー
ヒカルになるんだ!と意気込んだものの高段止まり。いつの間にか週刊碁歴10年になっていたアラサー。某ネコ型ロボットのグッズ集めが癒し。正月は「桃鉄100年モードしてました」。今年の目標は「漫画を読みながら床で寝落ちしないこと」
- サイトウ「皆様! あけまして! おめでとうございます!」
- ホリー 「もう2月ですけど。鬼は外の時期ですけど」
- サイトウ「ご挨拶が遅れたのには、ふか~い理由があるんですよ」
- ホリー 「一応聞きましょう」
- サイトウ「今年は打ち初め式がなかったじゃないですか?」
- ホリー 「また緊急事態宣言が出ちゃいましたからね......。やむを得ない中止とはいえ、残念でした」
- サイトウ「ボクの残念度は、パイセンの比じゃないですから! 打ち初め式では、鏡開きやるでしょ? そのまま棋士の先生達と飲み明かすのが恒例だったわけです」
- ホリー 「仕事を投げ出して?」
- サイトウ「そうそう......いやいや!仕事はちゃんとやりますよ。ええ、もちろん。でもね、やっぱり樽酒を開けないとボクの1年は始まらないんですよ。まだ新年って気がしないっていうか」
- ホリー 「わからんでもないです」
- サイトウ「なのでパイセン。ボクに新年気分を味わわせてください。具体的には、お酒かお酒、それかお酒があるといいです」
- ホリー 「お酒はありません。それじゃあ、おめでたい報告が一つ」
- サイトウ「おおっ!」
- ホリー 「昨年末、募集させていただいた碁界ニュースグランプリ2020。我々の『コラム開始』に投票してくださった奇特な方がいました。ありがたいですね」
- サイトウ「おお~っ!だから言ったじゃないすか!1位も夢じゃないって!」
- ホリー 「いや結果は見たでしょ。1位は一力さん」
- サイトウ「え~? じゃあボクらは何位?」
- ホリー 「圏外です」
- サイトウ「......ほんとに?」
- ホリー 「ほんとに」
- サイトウ「パイセンは信じられない! 集計し直してきます!」
碁界ニュースグランプリ2020結果発表
- サイトウ「......」
- ホリー 「サイトウさんが黙っちゃったので、僕が代わりに。すでに紙面で発表済みですが、ベスト10は以下の通りでした」
(1) | 飛翔一力 |
(2) | 藤沢、女流初の快挙 |
(3) | 芝野三冠に |
(4) | 魔王井山へ |
(5) | 栗田さん、アマ初の快挙 |
(6) | 令和三羽ガラス躍進 |
(7) | 上野、成長の証 |
(8) | ユーチューバー続々 |
(9) | 続く系譜 |
(10) | 対局延期、国内外で |
- サイトウ「......」
- ホリー 「せっかくなので、紙面では紹介しきれなかった11位以下を発表していきましょうか」
- サイトウ「......」
- ホリー 「いつまで拗ねてるんですか」
- サイトウ「20位まで紹介したって、我々は出てこないんですよ......?」
- ホリー 「そりゃそうでしょ。投票してくれた人がいただけ奇跡」
- サイトウ「......。わかりましたよ。こうなったら、本当は勝っていたことを証明するために、一つ一つ反論していきます!」
- ホリー 「お好きにどうぞ。まず11位は、こちら」
- サイトウ「歩さんか~」
- ホリー 「はい。『鈴木、女流棋聖に』。藤沢里菜・上野愛咲美の二強時代に風穴を開けたのはインパクト大。11位というのは、トップ10が強すぎただけですね」
- サイトウ「......確かに。僕ね、歩さんのこと好きなんですよ。旦那さんとデートしてる姿を目撃したときなんか、ショックで。歩さんが13年ぶりのタイトル......確かに我がコラムといえど僅かに及びませんね」
- ホリー 「今年の女流棋聖防衛戦も1―1のタイ。打ち盛りの上野さんを相手に、五分の勝負を繰り広げています」
- サイトウ「わかりました、負けを認めます。次!!」
- ホリー 「12位『照井春佳は初段である』」
- サイトウ「はい、我々の負け! 当然! 至極当然!」
- ホリー 「(早っ!)ネット投票が主かと思いきや、ハガキ投票でも多くの票が集まりました」
- サイトウ「当然でしょう! というか、ぱるにゃすが12位? パイセン、票を握りつぶしてないでしょうね?」
- ホリー 「してません」
- サイトウ「じゃあ何故! こんな熱いコメントもあったんですよ? 『照井さんがアマ初段になられたことで、囲碁をやめていたアニメ仲間が囲碁を再開しました』」
- ホリー 「投票者一人一人の熱は、随一だったかもしれませんね」
- サイトウ「でしょ! 熱い投票には、我々審査員が加点を加えるとかどうですか! 上のコメントなんか、100票分に値するかと!」
- ホリー 「サイトウさんが編集長になったらそうしましょう。そして同率12位がもう一つ」
- サイトウ「宝酒造杯?」
- ホリー 「はい。『アマ大会にも影響』。コロナ禍の影響で、続々中止や延期となったアマ大会。写真は代表して宝酒造杯です」
- サイトウ「うーん......。これも我々の負けですな」
- ホリー 「ほう、潔い」
- サイトウ「宝酒造杯、何を隠そうボクも楽しみにしていた一人だったんです」
- ホリー 「えっ、出場してたんですか?」
- サイトウ「もちろん。東京大会の皆勤賞男とは、ボクのことです」
- ホリー 「サイトウさんが碁を打ってる姿とか、想像つかないんですけど」
- サイトウ「誰が碁を打つといいましたか。試飲ですよ、試飲」
- ホリー 「......」
- サイトウ「率先して場を盛り上げるために、飲んで飲んで飲みまくる。これが僕の仕事。まぁ、あまりにも盛り上げすぎて『仕事に戻れ』という謎の注意を受けたこともありますけど」
- ホリー 「......。今年は開催出来るといいですよね。半被を来て顔を赤くしてる中年お祭り男がいたら、それがサイトウさんです。つまみの一つでもあげると喜ぶと思うので、気になる方はどうぞ」
- ホリー 「14位は『最年少対局、菫VS梨紗』」
- サイトウ「去年の10月でしたっけ。女流棋聖戦の本戦1回戦。11歳VS14歳......この歳で本戦かぁ」
- ホリー 「我々が勝てる要素あります?」
- サイトウ「ないわけじゃないですけど、ここは譲ってあげるのが大人の余裕ってものかと! 梨紗ちゃんなんかは院生時代から知ってるので、張り合うのも大人げないですよね~。お姉ちゃんにくっついてる姿が実に可愛らしくて」
- ホリー 「......。菫さんも東京に移籍したので、これから対局する機会も増えそうです」
- サイトウ「切磋琢磨して欲しいですねぇ、若人たちには!」
- ホリー 「『殿堂入りに秀行』15位です。写真は選考会の様子」
- サイトウ「く~、ここで秀行先生か~」
- ホリー 「サイトウさんも写真に映ってますね」
- サイトウ「いってみれば僕は、選考委員を束ねる長のようなもの!コーディネーターですから!」
- ホリー 「語弊のない表現だと、選考委員の雑用係をしてるそうです」
- サイトウ「品がない表現だな~。色々大変なんですよ。明確な選考基準があるわけじゃないから、みんな思い思いに自分の考えを推してくるもので」
- ホリー 「去年は坂田先生だったから、今年秀行先生というのは納得の流れですよね」
- サイトウ「まぁね~。色々あるんですけどね~。15位かー、これも僕の仕事といっても過言じゃないし、よしとしましょう!」
- ホリー 「......。もっと続けてもいいんですが、ここまで結局何一つ反論出来てないような?」
- サイトウ「ええ、悔しい......。紙一重で上をいかれてる印象です。今年のニュースグランプリで我がコラムが上位に食い込むためには、改革が必要かもしれません!」
- ホリー 「はぁ。例えば?」
- サイトウ「毎日更新!」
- ホリー 「......」
- サイトウ「ぱるにゃすをメインの進行役に!」
- ホリー 「......」
- サイトウ「囲碁ネタをゼロ! アニメネタ10割に!」
- ホリー 「......。サイトウさん、コラム開始に投票してくれた人のコメントを紹介しましょう。『ぱるにゃすについて紹介していたホリーさんとサイトウさんのコラムを見て、碁に興味を持ちました』だそうです」
- サイトウ「......泣ける」
- ホリー 「ね。いいんですよ。ありのままの姿で、一歩一歩いきましょうよ」
- サイトウ「パイセン!! ......そうですよね! 無理はよくない! 自然体が一番! 碁の勉強なんて無理してやるものじゃない!」
- ホリー 「......ん?」
- サイトウ「今年も万年10級を貫きますよ! ありのままのサイトウを、よろしくお願いします!」
- ホリー 「......人生、楽しそうですね」