武士の誇りを賭けた<復讐>を描く感動のリベンジエンタテイメント、映画『碁盤斬り』(監督・白石和彌、脚本・加藤正人、主演・草彅剛)が5月17日(金)に全国で公開された。
そこで、映画に出てくる囲碁シーンの監修を務めた高尾紳路九段を招き、『碁盤斬り』をもっと楽しめる囲碁の知識を2回に分けてご紹介したい。前編では「囲碁のことを知らない方向けの囲碁講座」として、『碁盤斬り』を鑑賞する上で押さえておきたい囲碁の基礎知識を紹介する。
©2024「碁盤斬り」製作委員会)
- ― 高尾九段、本日はよろしくお願します。
- ◯ よろしくお願いします。品田さんはもう映画を観たんですよね。どうでしたか?
- ― 一言ではとても言い表せませんが、それはもう、ものすごく面白かったです。草彅剛さん扮する主人公・柳田格之進の鬼気迫る表情、痺れました。そして「囲碁」がとても大切に扱われていて嬉しかったです。
- ◯ そうですよね、面白いですよね!僕も映画に関わらせてもらったので、たくさんの人に観てもらえるといいのですが。
- ― 大勢の方に刺さる映画だと思います!ただ、囲碁の知識があった方がもっと楽しめると思うんです。そこで初めて囲碁に触れる方でも囲碁のシーンを深く楽しめるようになる講座をお願いしたいのですが・・・。
- ◯ はじめて触れる方でも深く楽しめる、ですか。
- ― 囲碁のルールから歴史、江戸時代の囲碁事情など『碁盤斬り』に出てくる囲碁の魅力がまるっと読んだだけで分かる、そんな講座をお願いします。
- ◯ ・・・はい、わかりました。
- ― ありがとうございます!
- ◯ ただ、お断りしておきますが、囲碁を打てるようにはならないですよ。本当に打てるようになりたい場合は後ほど入門用の書籍やアプリを紹介するので、そちらを読んだり、教室に通ったりしてください。
- ― ではまず、「囲碁」とはどんなものなのでしょうか。一般的には「黒と白の石を並べるアレ」という感じだと思いますが。
- ◯ 大体合っています。ただ、五目並べやリバーシ(オセロ)と混同しないでください。囲碁は陣取りゲームです。歴史は古く、中国で4000年前に発明されたとされています。その後、奈良時代に日本へ伝わり、陣取りゲームという性質から武士に好まれ発展し、現在に至ります。
- ― さっそく「武士」というキーワードが出て来ました。格之進が囲碁を嗜むのは自然なことだったのですね。
- ◯ そうですね。教養の1つとして囲碁を学ぶ武士は多かったと思います。有名なところでは、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は全員嗜んでいました。特に徳川家康は好きで、天下平定後に囲碁を手厚く保護します。プロ棋士制度のようなものができ、囲碁で生計を立てられるようになったので、江戸時代はレベルが飛躍的に上がった時代でもありました。
- ― 格之進はひょっとしてプロ棋士ですか!?
- ◯ それは違うでしょう。江戸時代の専門棋士は「本因坊家」など特定の「家」に所属することになっていましたから。ただ、かなり強いので、今で言うアマ強豪(アマチュアの強い人)だと思います。
- ― 囲碁の「勝敗」はどのように決まるのですか。
- ◯ 先ほど申し上げたように囲碁は陣取りゲームです。碁盤の空間を囲って、相手よりも多く囲えた方の勝ちです。囲い合いをする中で、相手の石を囲むと取ることもできます。
- ― よく「石を取る」と聞きますが、それは相手の石を囲んで取ることなんですね。
- ◯ そうです。とりわけ大きな石を取ることを「殺す」と言ったりします。大きな石を取るのは大変なので、技が飛び交ってとても緊迫感があります。
- ― どんな技があるのですか。
- ◯ 技のことを「手筋(てすじ)」と呼びますが、簡単なものから難しいものまで数え切れないほどあります。とても説明しきれないので、ぜひ実際に囲碁を習って覚えてみてください。
- ― 『碁盤斬り』HPに、「(格之進は)かねてから嗜む囲碁にも実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている」とあります。実際に、囲碁に人柄は表れるものですか。
- ◯ その人がどんな碁を打つか、打ち方のスタイルのようなものを「棋風(きふう)」と呼びます。そして「棋風」はその人の考え方が強く出ます。相手の石を取ることで勝とうとする好戦的な人、堅実に陣地を取って大勝ちはしなくても確実な勝ちを目指す人、いろいろいます。打っていて「真面目そうだな」とか「大胆だな」などと相手の人柄を感じることはしょっちゅうです。
- ― 格之進のモットーでもある「嘘偽りない勝負」とはどんな勝負でしょうか。
- ◯ 相手の足元を見て無理な手を打ったり、マナー悪く相手にプレッシャーをかけたりしないということだと思います。
- ― 江戸時代の碁と現代の碁に違いはありますか。
- ◯ あります。対局がはじまって20手~30手くらいまでを「布石(ふせき)」と呼ぶのですが、「布石」を見るといつの碁かすぐに分かります。
- ― ありがとうございました。後編では高尾九段が監修する上でこだわった点や、映画に使用する棋譜を用意する上でのご苦労など、ディープな舞台裏を伺っていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
- * 末尾に囲碁を打てるようになりたい方向けに書籍、アプリ、教室の案内があります。また、『碁盤斬り』公式HPにて囲碁のルールなどをご紹介中です。そちらも合わせてご覧ください。
『碁盤斬り』
5月17日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
- 出演
- 草彅剛
清原果耶 中川大志 奥野瑛太 音尾琢真 / 市村正親
斎藤工 小泉今日子 / 國村隼 - 監督
- 白石和彌
- 脚本
- 加藤正人
- 音楽
- 阿部海太郎
- 公式HP
- https://gobangiri-movie.com
日本棋院の囲碁入門書籍
- 『大人のための らくらく囲碁入門』(日本棋院)
- 『石倉昇の囲碁入門』(日本棋院)
囲碁入門アプリ
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日本棋院の入門教室
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