11月6、7日に行われる第4回SGW杯中庸戦本戦の見どころなどを第1回覇者の林漢傑八段に聞いています(初代中庸・林漢傑八段の中庸戦徹底解説(1)、(2)参照)。今回は前回に引き続き出場者についてうかがった後、優勝予想をしていただきます。
(品=記者品田、林=林漢傑八段)- (品)今大会の本戦出場者は中野寛也九段、大垣雄作九段、加藤充志九段、金秀俊九段、水間俊文八段、林子淵八段、潘善琪八段、松本武久八段、張豊猷八段、鶴山淳志八段、岩丸平七段、大橋拓文七段、安斎伸彰七段、黒瀧正樹六段、堀本満成五段、奥田あや四段、以上16人のうち、松本武久先生まで紹介しました。
- (林)次は張豊猷八段、ちょさん(張八段の愛称)ですね。
- (品)はい、お願いします。
- (林)ちょさんは棋士の中でも1位2位を争う超長考派なんです。でも、実は早碁が得意。長考していつも時間がなくなるから秒読みに慣れているんですねぇ。あと、一歩も引かない棋風なので碁の内容的に一番おもしろいかもしれません。
- (品)次は鶴山淳志八段です。
- (林)私の相方です(笑)。私と鶴山八段はユーチューブや週刊碁で「つるりん」として活動しているんです。皆さん、必ずチェックしてくださいね(笑)!...とまあ、それは横に置いて、彼は人生の中で今が一番強いという珍しいタイプです。昨年、今年と2期連続本因坊リーグ入りしています。
- (品)岩丸平七段
- (林)私と入段が同期でパパ友です。関西総本部所属の実力者。碁盤を広く使った模様の碁が得意です。
- (品)大橋拓文七段
- (林)囲碁AIのスペシャリストです。いきなり初手で6線、7線に打つなど、変わった布石を打つこともあります。
- (品)安斎伸彰七段
- (林)特に最近、安定感が抜群でとても強いです。AIを駆使した序盤研究を得意としています。優勝候補の筆頭でしょう。
- (品)黒瀧正樹六段
- (林)青森県出身の優しい先生で、早碁が得意な印象です。今回の出場者は厚く攻める棋風の方が多いですが、黒瀧さんは地にカラい碁です。
- (品)堀本満成五段
- (林)棋士仲間での評価が高い棋士です。もともとは東京に住んでいましたが、今は地元の山口県在住です。
- (品)最後は奥田あや四段です。
- (林)2年連続の本戦入りですね。思い切りのいい攻めが魅力のハードパンチャーです。あと、この16人の中でたぶん一番お酒が強いと思います(笑)。
- (品)ありがとうございました。では漢傑先生、優勝予想をお願いします。
- (林)金秀俊九段、安斎伸彰七段、あとは張豊猷八段、松本武久八段、鶴山淳志八段、それから...
- (品)あの、先生、ちょっと多過ぎます。
- (林)馬連7頭(人)ボックスくらいでいきたいんですけど...。
- (品)急に競馬ネタ(笑)。それにしても堅実ですね。ただ、ここは「本命」「対抗」「漢傑先生のオススメ」でお願いします。
- (林)そうですか。本命、うーん...。つるさん(鶴山八段)は相方なので一番応援していますよ。でも今回は違うでしょう(笑)。
- (品)なぜですか?
- (林)そんなに簡単に優勝できる棋戦じゃないんです。私に並ぶのはまだ早い(笑)!ということで、あえて選ぶならちょさん(張八段)かな。碁が強くておもしろいし、普段時間を使い果たして追い込まれている成果をここで見せてくれるんじゃないかと(笑)。
- (品)「対抗」には誰を挙げますか?
- (林)安斎七段かな。彼の安定感も捨てがたい。最近少し大一番で負けている印象もありますが、大一番が打てているということはそこまで勝っているということ。相当有力です。
- (品)最後に「漢傑先生のオススメ」を教えてください。
- (林)うーん...。さっき挙げた5人(金九段、安斎七段、張八段、松本八段、鶴山八段)は実績的にも注目されやすいと思うんですよね。ただ、私は初代中庸。中庸戦を知り尽くしている男。そんな通のオススメは...、大垣先生です。
- (品)大垣九段ですか!
- (林)先生は普段本当によく早碁を打っているんです。それに、洪道場で元気な若者とたくさん打っているはず。そのパワーがここで発揮される気がします。
- (品)なるほど!大変勉強になりました。中庸戦の本戦は4回戦のリーグ戦で1位から16位まで決まります。優勝争いはもちろん、誰が上位にくるのか楽しみですね。それに、今回漢傑先生の人物評をうかがって、出場棋士の先生方をすごく身近に感じました。
- (林)そうでしょう、そうでしょう。中庸戦はとってもおもしろい棋戦なんです。11月7日(日)には大盤解説会がありますし、ネットでも中継されるのでぜひ見てください。
優勝予想に悩む林漢傑八段
・ネット対局サービス『幽玄の間』では11月6、7日に行われる本戦全局を棋譜ライブ中継
※観戦するためには有料会員登録が必要となります
・YouTube『日本棋院囲碁チャンネル』では優勝者の決まる11月7日に映像ライブ配信