子ども囲碁入門指導について

 子どもたちに囲碁を教えてみたいと思っても、初めてではどのように教えるのか指導方法がよくわからない方がほとんどです。ここでは、まったく碁を知らない子どもたちへの入門指導について触れてみたいと思います。

 「子どもたち」といっても幅広い年齢差があり、指導方法もそれなりに考えなければならないでしょうし、また同年齢でも一人一人個性があって教え方にも配慮、工夫が必要となります。また最初に教えるのは「石を取る」、「地を囲う」、「キリとツナギ」や独自の入門ルール等、講師によっても教え方が異なりますが、これは各々工夫をこらした技術指導の研究成果であろうと思います。

 しかし、入門指導で一番大切なことは、技術のあれこれではなく、「いかに興味を持たせるか」、「いかに興味を継続させるか」ではないでしょうか。

  • 興味
  • 楽しませる
  • 遊び感覚
  • 学ぶ

指導者の心構え

1.教え過ぎないこと。
2.興味を持たせること。

 この二点は、教える側がつねに心がけるべきことです。
 まず、念頭におくことは「教え込まない」ことです。教え過ぎはよくありません。

 教え過ぎは子どもの自由な発想をダメにし、興味・自主性を損なうことになります。特に入門初期の段階でいっぺんに教え込もうとするのは無理な話で、知識の押しつけは禁物です。指導者ひとりで説明して教えるのではなく、子どもたちと一緒に考え、正解を導くような誘導型指導をお願いしたいと思います。

 教える側からすれば自分の持っている知識はすべて与えたい、早く成長して欲しいと願うのは当然のことですが、口出しをし過ぎるとせっかくの芽をつぶしてしまいます。
知識を押しつけたり、手とり足とり教えていると、人の顔色を見い見い打つようになり、そのうち嫌になって離れていってしまいます。
「一つ教えると一つ興味を失う」と言った囲碁教師がいます。まさしく的を得た言葉で、教える側はじっと辛抱、我慢が必要です。

 子どもには一人一人にそれぞれ個性があって、積極的な子、消極的な子、理解力や決断が早い子、遅い子、周囲を気にする子など様々ですが、どんな子でも必ず独特の良さがあるはずです。その長所を見出し取上げて自信をつけさせ、やる気を起こさせることです。理解しない生徒を叱りつけるのではなく、教えたことに少しでも反応があったら誉めてあげましょう。(甘やかすことではありません)

 入門の最初は誰だって、よくわからないし間違えるものです。
よくあることですが、入門の子供がアタリになっているのに気づかず打っているのを見て、すぐ教えて解説をはじめたり、囲碁はどこに打ってもいいと言っておきながら一線に打つと、とがめるような指導は好ましくありません。

 すぐに教えるのではなく、「子供自身に気づかせる、発見させる」指導が大事です。ヘンな手を打ったとしても、アタリに気づかなくても、自由に打たせてあげましょう。

 夢中になって相手の石を追いかけまわしていた子供も、慣れるにしたがって自分の石を取られないように逃げる方法にふっと、気づくようになります。
この「自分で発見していく」ということが子供たちには大変な喜びで、ますます意欲を引きだすことになります。

 子どもは何かの「きっかけ」でグーンと自分の能力を伸ばすことがよくあります。誉められたとき、ちょっとした技術を身に付けたとき、勝負に負け葛藤しているときの友達の言葉、先生の言葉などなど。色々な場でのきっかけ作りを心掛けましょう。