囲碁雑学

棋力をしめす「段と級」

碁がどれくらい強いかという棋力(きりょく)をしめすのに、段とか級の用語が使われます。

これは柔道や書道などと同じで、段は数字が多い方が強く、級では数字の少ない方が強いのです。
プロは初段から九段までありますが、これはアマチュアの段とはくらべものにならないほど強い段です。
アマチュアは25級から八段まであって、碁のアタリがわかれば25級となります。

日本棋院では、段級の認定をして免状(棋力の証明書)を発行しています。
囲碁が素晴らしいのは置碁(おきご)のハンディキャップで棋力のちがう人同士でも楽しく打てることで、一般的には一段級差一子のハンディで打たれます。


プロの棋力
九段 > 八段 > 七段 > 六段 > 五段 > 四段 > 三段 > 二段 > 初段
アマの棋力
八段 > 七段 > 六段 > 五段 > 四段 > 三段 > 二段 > 初段 > 1級 > 2級 > 3級 > 4級 >  〜 25級まで

きれいな石の打ち方

囲碁をするとき、碁石をどのように持って打たれていますか。
初心者の方は親指と人差し指を使って打たれることが多いのでは。
強いてこだわることはないのですが、きれいな石の持ち方、打ち方があります。

まず碁笥(ごけ)から石を1個取り出すときは親指と人差し指(または中指)を使い、そのあと人差し指と中指で石をはさんで持ちかえ、盤面に石を置きます。

指先がピーンとまっすぐ伸びていて、きれいでしょう。
この華麗で繊細な指使いは見た目もスマートですし、脳にも良い刺激をあたえると言われています。
石を打つ慣れた手つきを見ただけで、囲碁が強そうに見えてしまうものです。

なかには手つきの格好だけいい人やワザとおかしな石の打ち方をして相手方を欺くテクニシャンもいますが、大かた碁石の打ち方で相手の棋力を察することができるものです。

(中指を上、人差し指を下にして石をはさむ)

碁盤

碁盤の種類

板盤

昨今、囲碁はテーブルで打たれることが多くなりました。かたづけや持ち運びも便利な板盤がかなり利用されています。
材質も紙、ゴム、木製などさまざまですし、練習用として線の数が少ない九路盤(9本×9本)や13路盤などもあります。

寸とは
尺貫法の長さの単位で、一寸は一尺の10分の1。約3.03センチ

練習用九路盤、13路盤
一寸盤

差込碁盤
二寸盤

足付盤

碁盤といえば、やはり和室に合う足付盤ですね。
もちろん木製ですが、昔から実に多くの種類の木材が使われてきました。
今、主流を占めているのが、榧(かや)、桂(かつら)です。しかし、天然銘木の盤材は年々品薄で、良品は次第に入手しにくくなっているのが現状です。

碁盤には何と言っても、榧がもっとも適しています。
ほど良い弾力性、美しい木目と色つや、そして芳しい香りをあわせ持つ榧は、まさにナンバーワン。しかも使い込むうちに渋味のある飴色に落ち着き、なんともいえない風格が出ます。

木口(こぐち)を見れば、碁盤の簡単な評価ができます。「木取り」といいますが、見分けやすい評価のポイントです。

碁盤の標準寸法

碁盤の木取りについて

木取りとは、原木から盤の形を取ることですが、柾目(まさめ)と板目(いため)の取り方があります。
また板目は木裏(きうら)と木表(きおもて)の取り方に分けられます。
木口(こぐち)(碁盤の前後側面)を見ればその木目で簡単に見分けられます。

柾目(まさめ)盤

柾目の取り方ができる原木は樹齢何百年という希少ものです。
盤面の木目が直角でスッキリと美しく、打ち味が優れています。
木口に表れる木目が上面から下面へまっすぐ通っているのは天地柾(てんちまさ)盤といい、木目が上面だけまっすぐなのは天柾(てんまさ)盤といいます。

柾目盤(天柾盤)
木口から見た木目

板目(いため)盤

盤面に板目が表れる木の取り方です。 木口から見て、木目が「Uの字」型を木裏(きうら)盤といい、「逆Uの字」型を木表(きおもて)盤といいます。

木裏(きうら)盤
一般的に盤面の中央に板目が表れ、傷は少なく面味は比較的良いものです。
木裏盤
木口から見た木目
木表(きおもて)盤

木裏盤とは天地が逆になる盤で、表面に割れ、裏面に傷が生じやすくなります。
ランクとしては一番下とはなりますが、打ち味は決して悪くなく、価格から見てもお買い得品が多い盤です。

木表盤
木口から見た木目

碁石

碁石の材質

碁石の高級品は白石はやわらかい光沢につやがある蛤貝から作られ、また黒石は硬質でキメ細かい粘板岩から作られます。
廉価品ではプラスチック製やガラス製もあります。

日向蛤

日向蛤は宮崎県日向のお倉ヶ浜で採れる「スワブテ蛤」が使われていましたが、この蛤もほとんど枯渇して、今では主にメキシコ産の貝を使用しています。

(宮崎県日向のお倉ヶ浜)

碁石の数とサイズ

碁石の数の標準は白石が180個、黒石が181個の合計361個で1組となります。

サイズの基準は白石直径21.9ミリ(7分2厘)、黒石直径22.2ミリ(7 分3厘)で黒石の方が0.3ミリ、また厚さについても白石に比べて黒石は約0.6ミリほど大きく作られています。

これは同サイズの白石と黒石を並べた場合、白石(膨張色)が大きく見えてしまうため視覚的なバランスと効果を配慮して黒石を若干大きめに作っています。

碁石の品質

日向産は主に白石の色のつき具合と縞目模様を基準として「雪印」「月印」「花印」の3ランクに品質わけされています。
またメキシコ産はホーロー質の縞目の表れ具合を基準として「雪印」「月印」「実用」の3ランクにそれぞれ分類されています。

碁石の厚み

白石の厚みを基準に25号(厚み7ミリ)、31号(8.4ミリ)、32号(8.8ミリ)、 33号(9.2ミリ)、34号(9.5ミリ)、40号(11.3ミリ)と号数で表されます。

通常は36号ぐらいまでの碁石が打ちやすいところですが、厚い碁盤には厚い石を、厚みのない碁盤にはそれにあう石をと、碁盤の厚さとのバランスを考慮して碁石を選びます。

碁笥

碁笥(ごけ)の材質・形

碁笥に使用される材質は廉価品のプラスチック製や木製等があります。
木製でも木目木肌の美しさを生かした生地仕上げや、色付仕上げ、漆、蒔絵、鎌倉彫などの工芸品もあり種類が豊富です。
形も筒型、丸型、平型などがありさまざまです。

(プラスチック製碁笥)

木製の種類

栗、タモ、楠、桜、ケヤキ、エンジュ、花梨、タガヤサン、黒檀、紫檀、黒柿、桑などがあります。

その中でも高級品として有名なのが桑碁笥です。
さらに桑のなかでも最高級品といわれるのが伊豆七島の三宅島、御蔵島産のもので宝石のような美しさがあり、「島桑」と呼ばれ珍重されています。

(島桑碁笥)
(栗碁笥)
(ケヤキ碁笥)

碁笥の大きさ

碁石を選ぶときは、厚い碁盤には厚い石を、厚みのない碁盤にはそれにあう石をと、碁盤の厚さとのバランスを考慮して選びますが、碁笥も碁石の厚みによって大きさを選びます。

碁笥特大サイズですと35号ぐらいまでの碁石が収まりますが、36号以上の碁石は入らないので碁笥のサイズも超特大となります。